日本大百科全書(ニッポニカ) 「閉環」の意味・わかりやすい解説
閉環
へいかん
ring closure
cyclization
鎖式化合物を環式化合物に変換することで、環化ともいう。一般に鎖状構造の両末端に官能基をもつ化合物を用いて環化反応を行わせる。たとえばディークマン反応はジエステルの環化反応である( )。また、フリーデル‐クラフツ反応を利用すると縮合環化合物を合成できる。ディールス‐アルダー反応のように、ジエンと親ジエン試薬の2種類の分子から一つの環が生成する閉環反応もある。
[佐藤武雄・廣田 穰 2015年7月21日]
閉環重合
環化重合ともいう。1分子中に2個の重合しやすい基をもつ単量体は、うまく条件を選択すると環を形成しながら重合する。100%環化した重合体を得ることはむずかしく、重合率の増加とともに未反応の官能基の分子間反応により、架橋して不溶化する場合が多い。環化重合体は熱力学的に安定な、5員環または6員環構造のものがほとんどである。
[垣内 弘]