精選版 日本国語大辞典 「関節」の意味・読み・例文・類語
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動物の骨格は各骨が互いにいろいろな形式で連結しており、その連結を関節という。結合する骨が種々の運動を必要とする場合は可動関節によって結合し、動きを必要としない場合には不動関節によって結合する。一般に関節というときは可動関節をさし、不動関節の場合は、骨間にある組織の種類によって靭帯(じんたい)結合、縫合(頭蓋骨(とうがいこつ))、軟骨結合(恥骨結合、脊椎(せきつい)の椎体間結合)などとよぶ。
可動関節は互いの骨の間に関節腔(くう)とよぶ狭い間隙(かんげき)があり、関節腔の内面には滑膜という組織が張られている。関節をつくっている関節骨の骨端部の表面には関節軟骨とよぶ硝子軟骨(ガラスなんこつ)の薄層(厚さ0.5~2ミリメートル)があり、関節面を平滑にしている。関節腔内には滑液が入っていて、潤滑油の役割をしており、関節の動きを滑らかにしている。関節は一般的には対向する関節面があり、一方は凸面で関節頭とよび、他面は凹面で関節窩(か)とよぶ。関節窩の辺縁部には線維軟骨性組織があったり(股関節(こかんせつ)の関節唇)、関節腔を完全に二分している関節円板(顎関節(がくかんせつ)、胸鎖関節)や円座のような関節半月(膝関節(しつかんせつ))が存在して関節面の適合をよくしている。
関節は関節包とよぶ結合組織で包まれるほか、さらに骨を互いに結合させる補強用の多数の靭帯が関節の周囲にあって、関節の運動を機能的に助けている。関節運動の性質、可能範囲は関節の形態、関節包、靭帯のつき方で決まるといってよい。
関節の分類法にはさまざまなものがあって、関節に関与する骨の数によって単関節(2個の骨の連結)とか複関節(3個以上の骨の連結)を区別したり、関節運動の形式によって、屈曲、伸展、内転、外転、外旋、内旋、回内、回外などに区別するが、これらの運動は関節軸を中心として行われるものである。関節軸とは、関節を通り二つの骨をまっすぐに伸ばした方向に走る「縦軸」と、縦軸に直角の方向の「直角軸」、これら両軸にそれぞれ直角な「垂直軸」を設定したものであり、関節はこの三つの軸を中心にして運動を行う。関節軸からみた場合、屈伸や回旋の運動を1軸のみで行う一軸性関節、互いに直交する2軸を中心にそれぞれが屈伸できる二軸性関節、前後や側方への屈伸のほか、回旋運動も行う三軸性関節(多軸性関節)の三つに分けられる。
関節の分類のうち、もっとも一般的なのは、関節面の形状、つまり関節頭と関節窩の形による分類である。なかには、厳密に区別できない形状の関節もあるが、球関節(臼(うす)関節)、楕円(だえん)関節、鞍(くら)関節、蝶番(ちょうつがい)関節、車軸関節、平面関節などがこれである。
(1)球関節 関節頭が半球状で、他方の関節窩が浅く、回転が自由で、運動範囲も関節のなかではもっとも広い多軸性関節である(肩関節)。関節窩が深い場合は臼関節といい、可動範囲も制限される。股関節がこれに属する。
(2)楕円関節 関節頭が楕円形の二軸性関節で、2方向に屈曲するが、回転運動ができない。顎関節、橈骨(とうこつ)手根関節がこれに属する。橈骨手根関節は、橈骨と手根骨に属する舟状骨・月状骨両骨との間にできる関節で、手掌側、手背側、橈骨側、尺骨側への屈曲を行う。
(3)鞍関節 対向する骨端面が鞍状で、互いに直角にあわさっている二軸性関節で、母指の手根中手関節(母指の付け根の関節)がこれに属する。
(4)蝶番関節 一軸性関節で、蝶番と同じ働きをして、1方向だけの屈曲運動を行う。指節間関節(指骨の間の関節)や腕尺関節(上腕骨と尺骨間)がこれに属する。
(5)車軸関節 円柱上の関節頭が長軸となり、その側面に関節窩がはまるように湾曲している。関節窩が固定して関節頭が運動軸となる一軸性関節であり、可動性も大きい。橈骨と尺骨との間の、上・下橈尺関節は前腕の回外・回内運動を行う車軸関節であり、また、第1頸椎(けいつい)と第2頸椎との間に構成される正中軸関節は頭部を回転させる。
(6)平面関節 二つの関節面が平面的で、互いにずれる運動を行う(椎間軟骨)。
関節運動の形式や運動範囲は、関節の形式、関節軟骨の形態、関節周囲の靭帯や筋のつき方、走行によって決まるため、関節の修復、整形などには、それらの条件を十分に考慮しないと機能回復が円滑にいかない。関節の運動感覚は、関節の内面・軟骨・靭帯などの内部に、関節面の接触によって位置や運動状況を感受する受容器があるため、自動的、他動的運動に関係なく、関節運動を感じる。
[嶋井和世]
代表的なものは「関節炎」と「脱臼(だっきゅう)」である。関節炎は原因によって種々に分類されるが、「関節リウマチ」(リウマチ性関節炎)や「変形性関節症」などは別に扱われる。また脱臼は、外傷性では肩関節に多くみられるが、先天性では「股関節脱臼」がもっとも多い。日常的には「捻挫(ねんざ)」がよくみられるが、幼児の手を引っ張った瞬間におこる「肘内障(ちゅうないしょう)」も肘関節の一部脱臼である。
関節の疾患にはかならず関節の運動障害を伴い関節痛を訴えることが多く、関節可動域のテストが行われる。また関節の内視鏡検査には、日本で開発された「関節鏡」が使われ、簡単な手術も可能となっている。治療としては「関節固定術」のほか、関節の可動性を回復させる「関節形成術」があり、「人工関節」が使われることもある。
以上についての詳しい解説は、それぞれの項目を参照されたい。
[永井 隆]
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…ここには声帯vocal cordsと呼ぶ2枚の弁があり,互いに接したり離れたりして,肺から流れ出る空気を遮断したり通過させたりする。こうした上位と下位の器官を用いて言語音声を発することを調音articulationと呼び,調音に参加する器官を調音器官articulatorという。
【子音の分類】
子音は肺から流れ出る空気を声道において妨害するとき発する音である。…
…また楽句の切れ目はリズム的な原理ばかりでなく,音の強弱や音色の変化からも感得されることがある。そこからアーティキュレーションarticulationとの混同も生じる。しかしアーティキュレーションはレガートやスタッカートなど,各音の演奏表現にかかわる概念であって,音楽的意味の区分であるフレージングとはあくまでも区別されねばならない。…
…岩石の割れ目や破断面で,それに沿うずれ(変位)がないか,あるいはほとんど認められないもの。面に平行なずれのあるものを断層という。花コウ岩や厚い塊状砂岩などのような均質な岩石の場合には,ずれを認定する手がかりがないので,鏡肌や断層粘土あるいは断層角礫など断層に伴う諸特徴が認められない限り,両者を区別するのはむつかしい。力学的には,最大圧縮主応力軸に対して約30度傾く方向にできる剪断節理と,この軸と中間主応力軸の両者を含む面に平行な張力節理とに分けられる。…
…石造,煉瓦造,コンクリートブロック造などの組積(くみづみ)工事の壁や床,タイル張りなどの張付け工事の壁や床において,個々の材料の間にできる継目(つぎめ)をいう。また,モルタル塗りの壁や床で,亀裂を防ぐためにつける溝や金属板をはめ込んだ筋目も目地と呼ぶ。垂直の目地を縦目地,水平の目地を横目地というが,組積工事では,縦目地が2層以上連続したものを芋(いも)目地と呼び,構造を脆弱にするものとして絶対に避けるようにしている。…
…移動運動の様式には遊泳,匍匐(ほふく),歩行,跳躍,走行,飛翔(ひしよう),帆翔,ジェット推進などいろいろあり,そのために使われる器官(運動器官)や機構もさまざまである。筋肉運動の場合は,関節をもつ骨格とそれに付着する伸筋・屈筋の組合せが一般的であり,骨格は無脊椎動物では外骨格,脊椎動物では内骨格になる。
[遊泳swimming]
遊泳は液体状の媒質の中を,底面から離れて移動する様式であり,まず歴史的に最も古く現れたものと考えてよい。…
…関節に可動制限のある際の日常生活上機能的に能率のよい肢位。各関節にはそれぞれ固有の可動域があり,それらの組合せによって総合的な運動が営まれている。…
…大多数の種類では骨格にキチン質の薄いところがあって,そこで体幹や体肢が折れ曲がるようになっている。これは一種の関節で,節足動物の名はここからきている。 軟体動物の大多数は体表に石灰質の貝殻を備えて体の保護をなす。…
※「関節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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