おんどりを戦わせて勝負を争う競技。古くは鶏合(とりあわ)せといった。唐の時代に中国に始まり、奈良時代の初め日本に伝えられたといわれる。『日本書紀』に雄略(ゆうりゃく)天皇の7年に鶏合せが行われたという記録がある。奈良・平安時代には宮中をはじめ上流社会で流行し、とくに幼帝のなぐさみのためしばしば催され、のちには3月3日の宮廷行事の一つとして毎年行われていた。
現在の闘鶏は、ニワトリの飼育が盛んになるにつれて、その優劣を競うことを目的として始まったが、江戸時代から明治の初めにかけて、ニワトリはシャモ(軍鶏)を使用し、もっぱら賭(か)け事として流行していた。1873年(明治6)に闘鶏の禁令が公布されたが、地方的な風習もあり、あまり効果はなかった。また東京市は1916年(大正5)、動物愛護の立場から闘牛、闘犬とともに闘鶏も禁止している。闘鶏は、鶏師(とりし)といわれる胴元と、胡麻師(ごまし)という世話人が、シャモの所有者と話し合い、日時、場所を定め、観客を集めて開催する。勝負は土俵上で行うが、土俵には本土俵と巻土俵とがある。本土俵は地面を深さ四尺(121センチメートル)、直径六尺(182センチメートル)の円形に掘り下げ、穴の側面と底に筵(むしろ)を敷いてつくる。巻土俵は室内で行う場合のもので、本土俵と同じ形状、大きさに筵を立ててつくる。勝負は、戦意を失ってうずくまるか、3回以上土俵の外に飛び出したほうを負けとする。現在は賭け事としてはもちろん、動物愛護の立場からも全国的に禁じられているが、ニワトリの産地として知られる中部、四国、九州地方では、地方的な行事として、なかば公然と行われている。
闘鶏は古くは古代ギリシア、ローマ時代に始まり、中国、インド、イギリスなどでも行われていた。とくにイギリスでは、宮廷貴族に好まれ、18世紀後半から19世紀にかけて隆盛を極めた。現在では東南アジア、西インド諸島などで盛んに行われている。
[倉茂貞助]
字通「闘」の項目を見る。
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…雄鶏をつがえて闘わせる遊戯。闘鶏。中国では古く周代からあり,所伝では唐の玄宗が乙酉の年の生れゆえに闘鶏を好み,また闘鶏を行ってのち間もなく位についたため,治鶏坊を建て鶏を闘わせたという。…
…日本には中国を経由して前300年以前に入ったと考えられ,古墳時代の埴輪(はにわ)にもニワトリをかたどったものがみられる。現代のニワトリは卵,肉などの食料生産を主要な目的として飼われているが,家畜化の初期には報晨(ほうしん)(時を知らせること),闘鶏,愛玩が主目的であった。主要品種を飼養目的によって分類すると次のようである。…
…軽駕(けいが)競走用のウマにはトロッター種がある。また動物どうしを闘わせて勝負を楽しむ競技に闘牛(日本),闘犬,闘鶏がある。日本の闘牛はウシどうしが力比べをする牛相撲ともいうべきもので,人間とウシが闘うスペインやメキシコの闘牛とは異なる。…
※「闘鶏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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アデノウイルスの感染により、発熱、のどのはれと痛み、結膜炎の症状を呈する伝染性の病気。感染症予防法の5類感染症の一。学童がプールで感染して集団発生するのでプール熱ともいう。...
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