防水加工(読み)ぼうすいかこう(英語表記)waterproof finish

精選版 日本国語大辞典 「防水加工」の意味・読み・例文・類語

ぼうすい‐かこう バウスイ‥【防水加工】

〘名〙 織物皮革・紙などに防水性を与えるため、特別の加工を施すこと。〔原子椎茸と(1954)〕

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デジタル大辞泉 「防水加工」の意味・読み・例文・類語

ぼうすい‐かこう〔バウスイ‐〕【防水加工】

[名](スル)織物・皮革・紙などに水がしみこむのを防ぐ加工を施すこと。「防水加工された靴」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「防水加工」の意味・わかりやすい解説

防水加工
ぼうすいかこう
waterproof finish

繊維品の表面を被覆または疎水化して水の浸透を防ぐ加工をいう。油脂ワックスゴムまたは各種合成樹脂などの液またはエマルジョン(乳濁液)で繊維を処理後加熱するか、樹脂シートを布と接合するなどの方法で表面に防水被膜を形成させる加工仕上げは、不通気性加工とよばれる。これに対し織物の通気性を保持させたまま防水性を付与する方法を、通気性(撥水(はっすい))加工とよび、(1)疎水性物質を繊維表面に沈着させる、(2)化学的に結合させる、(3)きわめて薄い疎水性皮膜を表面で形成させる、などの手段がとられる。(1)に対してはアルミニウムせっけん、ジルコニウム化合物などが用いられるが、効果は一時的である。(2)の目的には長鎖脂肪族ピリジニウム塩、エチレンイミン誘導体長鎖アルキルイソシアナート、ケテンダイマーなどが用いられ、シリコーンまたはフッ素樹脂を用いる(3)の方法と同様、恒久的な防水効果が得られる。

[岡原光男]

織物

以上の方法はいずれも特質欠点をもっているが、最近ではケイ素樹脂を使うシリコーン防水法がよく使われるようになり、レインコートなどに応用されている。摩擦洗濯による防水性の低下の少ないベラン・ゼラン防水加工法も使われている。「ベラン」VelanはイギリスICI社の、「ゼラン」Zelanはアメリカデュポン社防水剤につけられた商標名である。

[角山幸洋]

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百科事典マイペディア 「防水加工」の意味・わかりやすい解説

防水加工【ぼうすいかこう】

織物に水が浸透しないようにする加工。不通気性加工と通気性加工とがある。前者は疎水性のゴム,熱可塑性樹脂溶液乳濁液などを布に噴霧,コーティング,パティングで防水フィルムを形成させる。耐水圧性が大きく安価であるが,空気や水蒸気も透過しなくなり,むれやすいのでテント,シート,帆布など非被服用に用いる。後者は撥水(はっすい)加工ともいい,撥水加工剤で布を処理し,繊維表面を疎水化する方法。空気や水蒸気も透過し,加工後もしなやかで外観に変化がないため,レインコート,登山・スキーウェアなど被服用に利用。反応性防水加工剤,ケイ素樹脂を用いて通気性加工の効果を永続させる永久的防水加工方法が普及し,さらに,細孔構造のフィルムを他の布とラミネートさせて,通気性をもちながら耐水圧性も大きい防水保温繊維素材も各種開発されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「防水加工」の意味・わかりやすい解説

防水加工
ぼうすいかこう
waterproof finishing

被服としての織物,皮革,あるいは建築材料としての紙などに加工を施し疎水性 (撥水効果) を与えること。被服の防水加工には通気加工と不通気加工,また,一時防水と永久防水とがある。不通気加工は布面にゴム,プラスチック,乾性油などを塗布する加工法で,完全防水が可能であるが,被服内部の湿度が高くなり長時間着用ができない,不衛生であるなどの問題がある。通気加工は,織布に防水剤を浸透させることにより繊維に撥水性を付与するもので,防水力は不通気加工に劣るが,不通気加工のもつ欠点を解消するとともに,外観的にも良好である。一時防水は,乾性油やパラフィンなどの防水剤を布面に付着させるもので,洗濯などにより効果が喪失する。永久防水は,ベランシリコンなどの撥水物質などで繊維を化学的に処理するもので長期使用が可能である。

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化学辞典 第2版 「防水加工」の解説

防水加工
ボウスイカコウ
waterproofing

ビニル系の熱可塑性樹脂を布の両面あるいは片面にコーティングして,水の通過を防止する不通気性防水加工と,布を構成している繊維を疎水化して,布としてはっ水性を与える通気性防水加工とがある.前者の防水は完全であるが,通気性がないため,被服用には適さない.後者はさらに油脂,ろう,パラフィンやアルミニウム塩で処理する一時的防水法と,繊維表面にシリコーン樹脂(有機ケイ素化合物,主としてメチルシロキサンのポリマー)のフィルムをつくるものや有機フッ素化合物を用いる恒久的防水法に分かれる.前者は簡便で安価であるが,耐久性がない.後者,とくにフッ素化合物ははつ油性もある.

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世界大百科事典 第2版 「防水加工」の意味・わかりやすい解説

ぼうすいかこう【防水加工 water proofing】

織物に水が浸透しないように加工すること。これは不通気性防水加工と通気性防水加工とに分類される。不通気性防水加工は,臨界表面張力の低い,疎水性のゴムや熱可塑性樹脂の溶液やエマルジョンを布の片面あるいは両面に噴霧あるいはコーティングしたり,布を浴にパディングpadding(浴液に布を浸して液を吸収させ,1対のローラーの間を通して液を布に均一に浸透させること)することにより,布に強靱(きようじん)な防水フィルムを形成させる方法である。

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