ぼう‐か バウクヮ【防火】
〘名〙
火災が起こらないように前もって防ぐこと。また、
延焼をくいとめること。
※
随筆・
守貞漫稿(1837‐53)
二五「江戸弄翫中に防火の具を模造し児童も専ら愛
レ之」
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デジタル大辞泉
「防火」の意味・読み・例文・類語
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防火【ぼうか】
火災を防ぐことをいい,広くは,1.火気の管理を行って火災にならないようにする火災予防,2.火事になってもその拡大を防いで火を消す消火,3.外部で発生した火災の燃え移りを防ぐ類焼防止などが含まれる。木造建築物が多い日本では,建物自体が燃えることを防ぐ対策と,隣接の建物からの延焼を防ぐ対策に重点が置かれてきた。古代から火災は日常的だったようで,古代ローマのウィトルウィウスも,木造壁の危険性を指摘して,燃えにくい材料で外壁を作るよう述べている。西欧の中世の都市では延焼防止のために隣地との境界線上に煉瓦造の構造壁が作られ,これが防火壁としての役割を果たした。一方,近世に至るまで住宅の大半が木造建築であった日本の場合,延焼を防ぐには隣家との距離を十分に取るしかなかった。しかし都市部ではそれは不可能であり,結果として江戸時代の江戸だけでも,延焼距離が2kmにおよぶ火事が100回近くも起こっている。もちろん建物の外部に土塗りをしたり,瓦葺きを採用するなどの対策もとられたが,科学的な手法に基づく防火構造が提案されるのは昭和の初期に入ってからのことである。現在,法的には,都市計画法に基づき,市町村が防火地域および準防火地域を指定することになっており,防火地域では建築基準法により,多くの人が集まる一定規模以上の建物は耐火建築物としなければならないと定められている。なお,建物の高層化に伴って,火災に伴う煙の排除や伝播の防止も重要な課題となっている。→火事
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防火
ぼうか
fire prevention
火災の発生および拡大を防止すること。火災は,可燃物,酸素および着火源の3条件がそろった場合に発生するが,通常の大気中では酸素の遮断による防火はむずかしいので,物体の不燃化と火気の管理が主体となる。建物などでは不燃材料を用いた防火構造または耐火構造とし,着火源の管理をきびしく,危険の多い場所は火気禁止区域とするなど,火の用心を徹底する。万一出火したときは早期にこれを発見して消火し,火災の拡大を防止するため,火災感知器,手持消火器,各種消防設備,消火用水,防火壁などの諸設備を設けるほか,定期的に防火訓練を実施するなど,防火対象物の種類,規模などに応じた防火対策が必要である。これらは消防法 (昭和 23年法律 186号) およびその関連法令で規定されている。
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ぼうか【防火】
〈災〉という文字は川(水)と火とで構成されている。両者は,人間生活を豊かにした反面,人間に自然の厳しさを教えることにもなった。火を利用した暮しは,火災を抑止するくふうを怠っては成り立たない。燃えやすい家で都市を造ると大火でその努力は無駄になるし,火事の対策なしに大規模または高層あるいは地下何階もある建物を造ると大量死の発生も覚悟しなければならない。火を防ぐという内容には次の三つの意味がある。(1)火災予防 火事にならないように火気の管理を十分に行うこと。
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世界大百科事典内の防火の言及
【火事】より
…木材の引火温度は260℃前後,発火温度は450℃前後であるが,炎や熱気により木材が260℃前後に加熱されると,熱分解が盛んになり分解ガス(一酸化炭素ガスCO,水素ガスH2,メタンガスCH4など)が多く放出される。そこで建築防火のほうでは,260℃を木材の〈出火危険温度〉として,防火試験などの基準の一つにしている。最近の室内にはプラスチック製品が多く使用されているが,これらが火災により加熱されると,一酸化炭素ガス,炭酸ガスのほか,塩酸ガス,シアンガスなど有害ガスを発生する。…
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