精選版 日本国語大辞典 「陀羅尼」の意味・読み・例文・類語
だらに【陀羅尼】
だらり【陀羅尼】
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能(よ)く総(すべ)ての物事を摂取して保持し、忘失させない念慧(ねんえ)の力をいう。サンスクリット語ダーラニーdhāraīの音写。「保持すること」「保持するもの」の意。陀憐尼(だりんに)、陀隣尼(だりんに)とも書き、総持、能持(のうじ)、能遮(のうしゃ)と意訳する。一種の記憶術であり、一つの事柄を記憶することによってあらゆる事柄を連想して忘れぬようにすることをいい、それは種々な善法を能く持つから能持、種々な悪法を能く遮するから能遮と称する。普通には長句のものを陀羅尼、数句からなる短いものを真言(しんごん)、一字二字などのものを種子(しゅじ)という場合が多い。『大智度論(だいちどろん)』巻五には、聞持(もんじ)陀羅尼(耳に聞いたことすべてを忘れない)・分別知(ふんべつち)陀羅尼(あらゆるものを正しく分別する)・入音声(にゅうおんじょう)陀羅尼(あらゆる音声によっても左右されることがない)の3種陀羅尼を説き、略説すれば五百陀羅尼門、広説すれば無量の陀羅尼門があるとする。また、『瑜伽師地論(ゆがしじろん)』巻45には、法陀羅尼・義陀羅尼・呪(じゅ)陀羅尼・能得菩薩忍(のうとくぼさつにん)陀羅尼(忍)の4種陀羅尼があげられており、『大乗義章』巻11にはこの四陀羅尼について詳説されている。また、不空(ふくう)訳の『総釈陀羅尼義讃(そうしゃくだらにぎさん)』には4種の持としての陀羅尼が説かれ、法持(ほうじ)・義持(ぎじ)・三摩地持(さんまじじ)・文持(もんじ)の別が説かれている。
呪を陀羅尼と名づけるところから、呪を集めたものを陀羅尼蔵、明呪蔵(みょうじゅぞう)、秘蔵(ひぞう)などといい、経蔵、律蔵、論蔵、般若(はんにゃ)蔵とともに五蔵の一つとする。諸尊や修法に応じて陀羅尼が誦持(じゅじ)される。密教では、祖師の供養(くよう)や亡者の冥福(めいふく)を祈るために尊勝(そんしょう)陀羅尼を誦持するが、その法会(ほうえ)を陀羅尼会(だらにえ)という。
[小野塚幾澄]
サンスクリット語ダーラニーの音写語で,総持(そうじ)とか能持(のうじ)と漢訳される。心に忘れず保持し記憶し,善法を維持する能力という語義から発展し,病を治したり,悪を遮断し,罪を滅し,善を護り,悟りを促す神秘的な力を持つ梵語呪文(ぼんごじゅもん)を意味する。中国でもあえて翻訳せずに原語の音のまま唱えた。短文のものを「真言(マントラ)」と呼んで区別することもある。早くは『法華経』(ほけきょう)陀羅尼品(だらにほん)などにみられ,後代の密教において特に重要視されて多用されるに至る。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
サンスクリットのダーラニの音訳。総持(そうじ)と漢訳する。仏教で用いる呪文の一種で,本来はみずからの修行のためのものだが,他者のための加持祈祷の際にもよく用いる。本来は視・聴・嗅・味・触の五感を整え,精神統一して法を心にとどめて忘れないこと,すぐれた記憶力という意味をもつ。同じ呪文の真言(しんごん)や明呪(みょうじゅ)にくらべて比較的長く,「ノウマクサマンダボダナウ」に始まり,諸々の仏神を連ねて祈願をし,「ソワカ」で結ぶ形式をとることが多い。
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 歴史的には雑密(ぞうみつ),純密,タントラ仏教という過程をとって展開する。第1の雑密とは,世界の女性原理的霊力をそれと同置された呪文,術語でいう真言(しんごん)(マントラ),明呪(みようじゆ)(ビディヤーvidyā),陀羅尼(だらに)(ダーラニー)等の誦持によってコントロールし,各種の目的(治痛,息災,財福の獲得など)を達しようとするものである。純密とは《大日経(だいにちきよう)》と《金剛頂経(こんごうちようきよう)》のいわゆる両部大経を指すが,前者は大乗仏教,ことに《華厳経》が説くところの世界観,すなわち,世界を宇宙的な仏ビルシャナ(毘盧遮那仏)の内実とみる,あるいは普賢(ふげん)の衆生利益の行のマンダラ(余すところなき総体の意)とみる世界観を図絵マンダラとして表現し,儀礼的にその世界に参入しようとするもので,高踏的な大乗仏教をシンボリズムによって巧妙に補完したものとなっている。…
※「陀羅尼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
[1864~1915]ドイツの精神医学者。クレペリンのもとで研究に従事。1906年、記憶障害に始まって認知機能が急速に低下し、発症から約10年で死亡に至った50代女性患者の症例を報告。クレペリンによっ...
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