限る(読み)カギル

デジタル大辞泉 「限る」の意味・読み・例文・類語

かぎ・る【限る】

[動ラ五(四)]
時間・空間数量資格などに境をし、範囲を定める。「期限を十日と―・る」「申し込みは一人一枚に―・ります」
「荒いが此の風、五十鈴川で―・られて、宇治橋の向うまでは吹くまいが」〈鏡花歌行灯

㋐特にそれと限定する。「その件に関する―・り、問題はない」「うちの子に―・り、そんなことをするはずはない」→限って
㋑(「…に限る」の形で)他に、これに勝るものがない。最上である。「夏はビールに―・る」「こういうときにはその手に―・る」
㋒(打消しの語を伴って)そうと断定できない意を表す。「酒がからだに毒だとは―・らない」
[可能]かぎれる
[類語]極める絶する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「限る」の意味・読み・例文・類語

かぎ・る【限】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 時間、空間、程度、数量などに境目をつける。範囲を定める。
    1. [初出の実例]「日を限(かぎ)りて白す中に」(出典古事記(712)上)
    2. 「西はむやむやの関、路をかぎり」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)象潟)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 助詞「に」または「と」に付けて、物事や人などを、特に指定して表現する )
    1. 特にそれだけをとりたてる。それだけにきまる。それ以外に及ぼさない。
      1. [初出の実例]「身にかぎりては、人にまさりたる心ちこそしはべりつれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
      2. 「景清殿にかぎりさやうの事は候まじ」(出典:浄瑠璃・出世景清(1685)二)
    2. 他の人、他の物事ではだめで、それだけに限定される。それが最上である。
      1. [初出の実例]「アア三弦(さみせん)吉野に限るとねへ」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二)
      2. 「人間と生れたら教師となるに限る」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一)

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