雁が音(読み)カリガネ

デジタル大辞泉 「雁が音」の意味・読み・例文・類語

かり‐が‐ね【×雁が音/×雁金/×雁】

ガンの鳴く声。また、ガン別名 秋》
ガンを図案化した紋所の名。
カモ科の鳥。全長約60センチ。全体暗褐色で、足は橙黄色、額が白く、目の周囲が黄色。ユーラシア北部で繁殖し、日本には冬鳥としてマガンにまじって少数飛来
[類語]鳴き声囀り初音鶏鳴東天紅・吠え声・遠吠え・嘶き・空音がんかり真雁初雁はつかり帰雁落雁

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「雁が音」の意味・読み・例文・類語

かり‐が‐ね【雁音・雁・雁金】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 雁の鳴き声。雁(がん)の鳴く音(ね)。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「今朝の朝け雁之鳴(かりがね)聞きつ春日山もみちにけらし吾が心いたし」(出典:万葉集(8C後)八・一五一三)
    2. ( 転じて ) 鳥「がん(雁)」の異名。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「あしひきの山飛びこゆる可里我禰(カリガネ)は都に行かば妹にあひて来ね」(出典:万葉集(8C後)一五・三六八七)
      2. 「古郷に帰る雁がねさ夜ふけて雲路にまよふ声きこゆ也〈よみ人しらず〉」(出典:新古今和歌集(1205)春上・六〇)
    3. ( 雁金 ) カモ科の水鳥。全長約六〇センチメートルの小形のガン。マガンに酷似するが小さく、額の白色部が広い。ユーラシア大陸北部で繁殖、日本には冬まれに渡来する。こかりがね。きんめ。〔本朝食鑑(1697)〕
    4. 雁を図案化した紋章。雁音、結び雁音、飛び雁音、三つ盛雁音などがある。また、それを紋所としていたところから、柴田勝家の異称。
      1. 雁音@飛び雁音@結び雁音@三つ盛雁音
        雁音@飛び雁音@結び雁音@三つ盛雁音
    5. かり(雁)
      1. [初出の実例]「蚊蟵画雁、蚊蟵に雁金を染、或は紙にて切て付る事、その由来を知る人なし」(出典:随筆・卯花園漫録(1809)一)
    6. 江戸時代に使われたお茶の一種。煎茶の銘か。
      1. [初出の実例]「喜撰の新ときては、煎茶家のひねる所さ。折鷹・厂金(カリガネ)もよいが、喜撰にゃ及ばねへ」(出典:洒落本・讚極史(1789‐1801))
  2. [ 2 ] 清元。河竹黙阿彌作詞。二世清元梅吉作曲。本名題「色増栬夕映(いろまさるもみじのゆうばえ)」。明治一四年(一八八一)東京新富座上演の「島鵆月白浪(しまちどりつきのしらなみ)」で、望月輝(あきら)とその妾弁天お照との恋愛の場面に効果音楽風に使った浄瑠璃。端唄流行の時代を反映して、全体に端唄的情緒が強い。

雁が音の語誌

→「かり(雁)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の雁が音の言及

【緑茶】より

…ともに,もとの茶が良質であれば品質はよく,芽茶,茎茶は〈さしがきく〉といって,繰り返し湯を注いでも味の出るものが多い。雁が音(かりがね),白折(しらおり)などと呼ばれるものは挽茶から選別された茎茶で,くずとはいえ高級品で価格も高い。また,ほうじ茶は番茶や煎茶を強火で焙焼(ばいしよう)したもの,玄米茶はこれに蒸して炒った玄米を加えたもので,いずれも焙焼による香気と軽快な味が喜ばれる。…

※「雁が音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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