雑穀(読み)ざっこく

精選版 日本国語大辞典 「雑穀」の意味・読み・例文・類語

ざっ‐こく【雑穀】

〘名〙 穀類うち、米や麦を除いたアワヒエキビなどの総称。雑穀物
続日本紀‐霊亀元年(715)一〇月乙卯「自余雑穀、任力課之、若有百姓輸粟転稲者之」
名語記(1275)六「雑穀のひえ、如何」

ざ‐こく【雑穀】

〘名〙 「ざっこく(雑穀)」の変化した語。
※玉塵抄(1563)一五「藜莧のあかざひゑさこくの飯ぬかみづ汁くうつれではないと云心ぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「雑穀」の意味・読み・例文・類語

ざっ‐こく【雑穀】

以外の穀類の総称。そばきびあわなど。
[類語]穀物穀類五穀米穀

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「雑穀」の意味・わかりやすい解説

雑穀
ざっこく

日本では米、ムギ、オオムギを主穀とよび、それ以外の穀物を雑穀と総称している。雑穀は主穀に比べて食糧としての重要性が低く、生産量も少ない。しかし、この区別は国によって異なり、たとえばアメリカでは、トウモロコシは生産量が多く主穀として扱われ、米(イネ)は雑穀に含まれる。日本における雑穀の種類には、イネ科のライムギエンバク、トウモロコシ、アワ、ヒエ、キビ、モロコシ、シコクビエハトムギなどと、タデ科のソバヒユ科センニンコクなどがある。さらにマメ類も雑穀に含めることがあり、日本ではダイズインゲンマメアズキササゲエンドウラッカセイなどがある。雑穀は、従来は主食の補助や代用として利用されたが、主穀の供給が十分ある現在では、主として飼料や工業原料、あるいは加工食品の原料として利用されている。また、日本では、アワ、ヒエ、キビ、シコクビエなど生産力が低く利用価値も低い雑穀はしだいに需要が減り、ほとんど栽培されなくなってきている。

[星川清親]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「雑穀」の解説

雑穀

」のページをご覧ください。

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典 第2版 「雑穀」の意味・わかりやすい解説

ざっこく【雑穀】

アワ,キビ,ヒエなどの総称で,英語のミレットmilletに対応する語。すでに《日葡辞書》(1603)にも〈Zacocuザコク(雑穀)〉として掲出されている。雑穀に含まれる穀類の種類は,定義をどうとるかによって異なってくるが,ここでは雑穀を小さな頴果(1粒の種子を含む果実)をつけ,おもにサバンナ的な生態的条件の地域で起源し,夏作物として栽培される一群のイネ科穀類と定義しておく。 世界における雑穀の主要な起源地域はアジアとアフリカで,この二つの地域ではそれぞれ独自の雑穀が成立した。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「雑穀」の解説

雑穀
ざっこく

米麦以外の粟・黍(きび)・稗(ひえ)・蕎麦・豆類・胡麻などの作物。五穀以外の穀物一般を意味する場合もある。歴史的に貢租の対象外とされ,農民の自給食料あるいは救荒作物として栽培された。栽培はおもに畑地や焼畑で行われた。とくに山間地では重要な作物で,時代をさかのぼるにつれその比重も高まるが,明治30年代以降は急速に作付面積が減少した。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

普及版 字通 「雑穀」の読み・字形・画数・意味

【雑穀】ざつこく

諸穀。

字通「雑」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

栄養・生化学辞典 「雑穀」の解説

雑穀

 穀物のうち,コメ,オオムギ,コムギを除いたもの.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典内の雑穀の言及

【農業】より

…農業総産出額(貨幣価値の変化を考慮しない名目の実額)は,1960年の1.91兆円から70年4.66兆円,82年10.7兆円と増大しており,1980年を100とする農業生産指数をとってみると,1960→70→82の各年で,全農産物総合が76.9→96.7→104.0,耕種総合(米麦や野菜,果実など)が105.0→107.9→104.7,畜産総合が26.9→73.2→103.0のように増大している。耕種総合の伸びが停滞しているのは,米や,とくに麦類,いも類,豆類,雑穀類などの生産が減退しているためで,野菜や果実の生産はこの間に大幅に伸長している。 農業生産は増大してきたが,しかし,農業の国民経済ないし全産業中に占める地位は,この間に一貫して低下を続けている。…

※「雑穀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

道頓堀川

大阪府中部,大阪市の中央部にある運河。東横堀川から中央区の南部を東西に流れて木津川にいたる。全長約 2.5km。慶長17(1612)年河内国久宝寺村の安井道頓が着工,道頓の死後は従弟の安井道卜(どうぼ...

道頓堀川の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android