離離(読み)リリ

デジタル大辞泉 「離離」の意味・読み・例文・類語

り‐り【離離】

[ト・タル][文][形動タリ]
よくみのって穂や枝が垂れ下がるさま。
草木が生い茂っているさま。
秋草―たる野原を」〈嶺雲明治叛臣伝
ばらばらに散らばっているさま。
「通篇脈絡―として」〈逍遥小説神髄

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精選版 日本国語大辞典 「離離」の意味・読み・例文・類語

り‐り【離離】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙
  2. 穀物の穂がみのって垂れ下がるさま。また、草木の繁茂するさま。
    1. [初出の実例]「靄靄皆和気、離離半旅生」(出典:菅家文草(900頃)一・重陽侍宴、賦景美秋稼)
    2. 「離々(リリ)たる原上の草、塁々(るいるい)たる白骨」(出典太平記(14C後)三三)
    3. [その他の文献]〔詩経‐王風・黍離〕
  3. 散らばるさま。
    1. [初出の実例]「離々(リリ)たる馬目(ばぼく)連々たる鴈行。わきめもふらぬ碁の勝負」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)九仙山)
    2. [その他の文献]〔馬融‐囲棋賦〕

かれ‐がれ【離離】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 人の行き来や、手紙、歌のやりとりが途絶えがちであるさま。交わりの薄れゆくさま。多く男女の仲が疎遠になることについていう。和歌では「枯枯(かれがれ)」にかけていうことが多い。
    1. [初出の実例]「かれがれに、とだえ置かむ折こそは、さやうに思ひかはる事もあらめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    2. 「男、異女(ことおんな)ありて、思ひくたびれて、千歳(ちとせ)の中もかれがれにて、深う因(ちな)みぬる顔にて見れば」(出典:仮名草子仁勢物語(1639‐40頃)上)

はなれ‐ばなれ【離離】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) きれぎれに分かれること。ばらばらに離れること。また、そのさま。ちりぢり。わかれわかれ。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「今度は離ればなれに坐った」(出典:南部の旅(1959)〈庄野潤三〉)

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普及版 字通 「離離」の読み・字形・画数・意味

【離離】りり

ものがさかんにつらなるさま。あかるく、みだれるさまなどをいう。元・王〔張僧の画に題す〕詩 千峯峯、兀(とつこつ) 村後村、樹離離たり

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