雨天の外出時に着物がぬれないように着る防雨用和服コート。主として女性が用いる。古くは合羽(かっぱ)といった。コート丈は、帯を締めた上に着衣して、かかとまでの丈を計り仮縫いをして定める。裄丈(ゆきたけ)、袖幅(そではば)、袖付けは長着より8ミリメートルずつ寸法を大きく仕立てる。前身頃(まえみごろ)の裾(すそ)に前上がりをつけ、歩きやすくする。小衿(こえり)には立ち衿と折り衿とがある。立ち衿は角・丸の道行衿、千代田衿、折り衿はへちま衿を基本とし、デザインによって多くの変形ができる。近年は道行角衿が一般に多く用いられる。布地は防水加工を施し、主として繻子(しゅす)、紋繻子や、紬(つむぎ)、絣(かすり)木綿なども用いる。雨ゴートは四季を通じ単(ひとえ)仕立てにする。肩すべりは着脱しやすい滑りのよい布地を用いる。紗(しゃ)のような薄物に防水加工をして、用いることもある。また、半コートと下半身を覆う下衣との二部式は、晴雨兼用として便利である。
[藤本やす]
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