青丹(読み)アオニ

デジタル大辞泉 「青丹」の意味・読み・例文・類語

あお‐に〔あを‐〕【青丹】

《「に」は土の意》
青黒い土。
緑色顔料の土。岩緑青いわろくしょうのこと。
染め色の名。濃い青に黄の加わった色。
かさねの色目の名。表裏ともに濃い青に黄を加えた色。

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精選版 日本国語大辞典 「青丹」の意味・読み・例文・類語

あお‐にあを‥【青丹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「に」は、土の意 ) 青黒色の土。
    1. [初出の実例]「有らゆる土は、色、青き紺(はなだ)の如く、画に用ゐて麗し。俗(くにひと)、阿乎爾(アヲニ)といひ」(出典常陸風土記(717‐724頃)久慈)
  3. 青色顔料の土。染料絵の具に用いられる。岩緑青(いわろくしょう)
    1. [初出の実例]「緑青。和名安乎仁 出長門国」(出典:医心方(984)一)
  4. 染色の名。濃い青色に、黄の加わった色。緑青色。
  5. (かさね)色目。表裏ともに、濃い青に黄を加えた色のもの。または、表は赤みの多い茶色で、裏は薄い青色のもの。
    1. [初出の実例]「下づかへはあをににやなぎがさね着たり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)春日詣)

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色名がわかる辞典 「青丹」の解説

あおに【青丹】

色名の一つ。この場合ののこと。丹は土を意味し、この場合は緑みのある土の色をさす。一般に顔料となる岩緑青いわろくしょうのこととされ、奈良産地として有名。『万葉集』に「青丹よし 寧楽ならの京師みやこは咲く花の 薫にほふがごとく 今盛りなり」とうたわれ、「青丹よし」は奈良にかかる枕詞まくらことばとなっている。ただし岩緑青は洋名でいうとマラカイトグリーンだが、青丹はそれよりもくすんだイメージの色。古くは染色、織物の色名として用いられた。

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普及版 字通 「青丹」の読み・字形・画数・意味

【青丹】せいたん

青の丹。

字通「青」の項目を見る

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