面白い(読み)オモシロイ

デジタル大辞泉 「面白い」の意味・読み・例文・類語

おも‐しろ・い【面白い】

[形][文]おもしろ・し[ク]もと、目の前が明るくなる感じをいった語》
興味をそそられて、心が引かれるさま。興味深い。「何か―・いことはないか」「仕事が―・くなってきた」「この作品は―・くなかった」
つい笑いたくなるさま。こっけいだ。「この漫画はなんとも―・い」「―・くもない冗談
心が晴れ晴れするさま。快く楽しい。「夏休みを―・く過ごした」「無視されたようで―・くなかった」
一風変わっている。普通と違っていてめずらしい。「―・い癖」「―・い声」
(多く、打消しの語を伴って用いる)思ったとおりである。好ましい。「結果が―・くない」
風流だ。趣が深い。
「月の―・きに、夜更くるまで遊びをぞし給ふなる」〈桐壺
[派生]おもしろがる[動ラ五]おもしろげ[形動]おもしろさ[名]おもしろみ[名]
[用法]おもしろい・おかしい――「おもしろおかしく話す」「おもしろい(おかしい)形の木の根」のように、滑稽こっけいな、奇妙な、の意味では、相通じて用いられる。◇「おもしろい」は、「おもしろい小説」「仕事もだいぶおもしろくなってきた」のように、その内容が(話し手の)興味をひく場合に用いられる。◇「おかしい」は、「何となくおかしい作品」のように、形式その他が風変わりだ、調和的でない意を表し、また、「先月来、からだの調子がおかしい」「彼が勲章をもらうなんてちゃんちゃらおかしい」と不調・不審の用法に及ぶ。これらは「おもしろい」に置き換えられない。◇「おもしろい試合」は、緊迫した内容の試合であり、「おかしい試合」は、普通でない変な経過、珍プレーのある試合ということになる。
[類語](1興味深い興味津津エキサイティング印象的魅力的蠱惑こわく蠱惑こわく魅する魅了魅惑素敵印象深い感慨深い引き付ける吸い寄せるチャーミング心に染みる心に残る心を打つ心を動かす心を捉える胸を打つ胸に迫る味わい深い/(2愉快痛快おかしい滑稽ひょうきんコミカル/(3満足満悦充足飽満自足自得会心自己満足本望満ち足りる心行く堪能満喫安住安んずる甘んずる十分十全嬉しい楽しい喜ばしい喜び愉快痛快結構喜悦有頂天納得慊焉けんえん三平思わしい上機嫌ご機嫌おんの字足りる足る舞い上がる満たす気を良くする溜飲りゅういんを下げる言うことなし気に意に適ううきうきうはうはわくわくいそいそぞくぞく

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精選版 日本国語大辞典 「面白い」の意味・読み・例文・類語

おも‐しろ・い【面白】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]おもしろ・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 見て楽しい。愉快だ。気持がいい。
    1. [初出の実例]「山越えて 海渡るとも 於母之楼枳(オモシロキ) 今城(いまき)の中(うち)は 忘らゆましじ」(出典:日本書紀(720)斉明四年一〇月・歌謡)
    2. 「生ける世に吾は未だ見ず言絶えてかく(おもしろく)縫へる袋は」(出典:万葉集(8C後)四・七四六)
  3. 興味をそそられる。興味ぶかい。独特の魅力がある。対応したり評価したりする価値がある。
    1. [初出の実例]「『(オモシロシ)。願はくは復聞かむ』といふ」(出典:日本書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓))
    2. 「おもしれえ、切られよう、いつか一度は二人とも刀の錆になる身体(からだ)」(出典:歌舞伎青砥稿花紅彩画(白浪五人男)(1862)三幕)
  4. 趣がある。風流である。風情(ふぜい)がある。
    1. [初出の実例]「於毛思路伎(オモシロキ)野をばな焼きそ古草に新草(にひくさ)まじり生ひは生ふるがに」(出典:万葉集(8C後)一四・三四五二)
    2. 「かぐや姫、月のおもしろう出でたるを見て、常よりも物思ひたるさま也」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  5. 望ましい状態である。思うとおりで満足させられる。多く打消の語を伴って用いられる。
    1. [初出の実例]「苟合とは、面白く気に入るやうな事をば云わぬぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
    2. 「けふの寒さをいかにせん。あらおもしろからずの雪の日やな」(出典:車屋本謡曲・鉢木(1545頃))
  6. こっけいである。おかしい。また、奇妙である。一風変わっている。
    1. [初出の実例]「からすのまねをする、あどわらふて『此やうな面白ひ事はなひ、色々になぶらふ』」(出典:虎明本狂言・柿山伏(室町末‐近世初))

面白いの派生語

おもしろ‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行(五)四 〙

面白いの派生語

おもしろ‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

面白いの派生語

おもしろ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

面白いの派生語

おもしろ‐み
  1. 〘 名詞 〙

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