順化(読み)ジュンカ(その他表記)acclimation

翻訳|acclimation

デジタル大辞泉 「順化」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐か〔‐クワ〕【順化/×馴化】

[名](スル)生物が、異なった環境、特に気候の異なった土地に移された場合、しだいにその環境に適応するような体質に変わること。「寒冷地の気候に―する」

ユエ(Hué)

フエ

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精選版 日本国語大辞典 「順化」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐か‥クヮ【順化・馴化】

  1. 〘 名詞 〙 生物が環境の変化に適応していくこと。例えば、高地移動にともなう頭痛吐き気などの症状が、しばらくそこに滞在すると消失するなど。広義には他の地域に移された動物や作物などがその地域の環境、特に気候に適応した性質をもつようになることをいう。
    1. [初出の実例]「住民のフィン人はもと東洋人だったのが北欧の自然に馴化され」(出典:生々流転(1939)〈岡本かの子〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「順化」の意味・わかりやすい解説

順化 (じゅんか)
acclimation

馴化とも書く。広い意味では環境への適応あるいは順応と同義で用いられる場合もあるが,ふつう生物学用語としては,適応がかなり長い時間経過の間に,形態や生理が変化し固定されることをいうのに対して,順化は,せいぜい数週間以内で生理機能を環境にうまく合わせることをいう。環境に対する生体の反応は時間の短いほうから順に,反応-順応-順化-適応というが,互いに重なり合った概念でもあり,あいまいな使われ方をする場合が多い。順化というと,気候順化の意味で使われることが多いが,これには高地への移動に伴う高地順化,季節変化への順化,乾燥・塩濃度の変動への順化などがある。高地順化を例にとると,高い山に登るにつれ,大気中の酸素分圧が低下し,生体に必要な酸素が十分得られず,めまい,頭痛,吐き気などの症状を呈するいわゆる高山病となる。この状態もしばらく高地にとどまっていると消失する。これは,血液中の酸素分圧の低下が腎臓に伝えられて,エリスロポイエチンという一種ホルモン分泌を促し,これが骨髄幹細胞に作用して赤血球新生を促すことなどによる。乾燥地への順化も,抗利尿ホルモンの産生分泌が増し,水分の排出をおさえることなどによる。このように順化の機構にはホルモンなどの体液性の調節物質が関与している場合が多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「順化」の意味・わかりやすい解説

順化
じゅんか

個体の一生の間に、ある環境変化を受けたとき、生理的な調整によって、その環境に自身の機能をうまくあわせることをいう。この調整は遺伝的に固定されることはない。たとえば、急に高山へ登ると、大気圧の酸素分圧が低いため、体に必要な酸素を十分に補えず、頭痛をおこしたり、ひどい場合には高山病となるが、しばらくそこに滞在すると体内の連続的な生理的反応により、やがて赤血球が増加し、健康に行動できるようになる。このように、気圧・酸素分圧・温度などの変化が関与する高地(または低地)への移動、温度・光などの変化する季節変化、塩分・水圧などの変化する淡水や海水間の移動などの際、最初の生理的に不安定な状態から新しい環境に慣れるのに、数日から数週間を要するような過程、およびその結果を順化acclimationという。なお、気候の変化に対する生体の調整は、とくに気候順化acclimatizationとよび、単に順化といえばこれをさす場合が多い。

[山崎柄根]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「順化」の意味・わかりやすい解説

順化
じゅんか
acclimatization

馴化とも書く。 (1) 生物が異なる土地に移された場合その気候条件に適応し,または移されなくても同一地においての気候条件の変動に次第に適応すること。また適応させることをいう。 (2) 広くは自然または実験室条件下で,それまで出会わなかった条件に次第に順応していくことをさす。

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栄養・生化学辞典 「順化」の解説

順化

 →馴化

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世界大百科事典(旧版)内の順化の言及

【フエ】より

…人口21万9000(1992)。フランス語風にユエとも呼ばれ,漢字では順化と書く。標高15m,南シナ海海岸から約16km内陸の海岸平野にあり,市の中央をフォンザン川(香江)が流れる。…

※「順化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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