須く(読み)スベカラク

デジタル大辞泉 「須く」の意味・読み・例文・類語

すべから‐く【須く】

[副]《動詞「」に推量助動詞べし」の付いた「すべし」のク語法から。漢文訓読による語》多くは下に「べし」を伴って、ある事をぜひともしなければならないという気持ちを表す。当然。ぜひとも。「学生須く学問を本分とすべきである」
[補説]文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「当然、是非とも」と「すべて、皆」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。
 平成22年度調査令和2年度調査
当然、是非とも
本来の意味とされる)
41.2パーセント54.8パーセント
すべて、皆
(本来の意味ではない)
38.5パーセント32.1パーセント

[類語]是非とも強いて敢えてむりやり努めてできるだけ極力なるたけなるべく可及的必ずきっと絶対是非何としてもどうしても何が何でも是が非でも無論勿論もちろん当然当たり前もっとも自然至当元よりご無理ごもっと自明歴然歴歴一目瞭然瞭然灼然しゃくぜん明らか明白明明白白定か明快はっきり明瞭画然顕然まさしくまさに必至疑いなく然るべき言うまでもない言うに及ばず言えば更なり言わずもがな言うもおろか言をたない論をたない論無し推して知るべし隠れもない無理もない無理からぬもありなん理の当然必然妥当自明の理それもそのはずもっともっとも至極もっとも千万うべなるかなむべなるかな合点唯唯諾諾首肯うべなう賛成賛同果たして果たせるかな更にも言わず至極のみならず言わずと知れた紛れもない違いないくっきり諸手もろてを挙げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「須く」の意味・読み・例文・類語

すべから‐く【須く・応く】

  1. 〘 副詞 〙 ( サ変動詞「す」に推量の助動詞「べし」の補助活用「べかり」のついた「すべかり」のク語法。多く下に推量の助動詞「べし」を伴って用いる ) 当然なすべきこととして。本来ならば。
    1. [初出の実例]「若し犯過の比丘尼須(スベカラク)治す応き者あらば、一月両月苦使せしめよ」(出典:四分律行事鈔平安初期点(850頃))
    2. 「徳をつかんと思はば、すべからく、まづその心づかひを修行すべし」(出典:徒然草(1331頃)二一七)

須くの語誌

( 1 )「須」を訓読する際に生じた語。中古初期には単に「べし」とだけ読まれることが多かったので用例が少ないが、中期以後盛んに用いられるようになった。「べし」のほか、「む」や命令表現で再読する例もみられる。
( 2 )中古後期の古記録では「須…、而(然而)…」(スベカラク…ベシ、シカルニ/シカレドモ)や「雖須…」(スベカラク…トイヘドモ)のように、下に逆接で続く用例が多い。これは、「本来、当然…であるべきところだが」という文脈に用いられた平安鎌倉期の古記録特有の語法と思われる。

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