須彌山(読み)しゅみせん

精選版 日本国語大辞典 「須彌山」の意味・読み・例文・類語

しゅみ‐せん【須彌山】

  1. [ 1 ] ( [梵語] Sumeru の音訳。妙高山、妙光山などと訳す ) 仏教の世界観で、世界の中心に聳えるという高山。大海中にあり、高さ八万由旬(ゆじゅん)(一由旬は四〇里)、水に没している部分も八万由旬、縦・横もこれに等しく、金・銀・瑠璃玻璃の四宝から成り頂上には帝釈天、山腹には四天王が住し、日月がその周囲をめぐるとし、七つの香海と七つの金山がこれをとりまき、七金山の外に鹹海(かんかい)を隔てて鉄囲山がこの世界の外郭をなし、鹹海の四方瞻部洲など四大州があって、衆生はここに住むとする。しゅみ。すみせん。しゅみろうせん。
    1. [初出の実例]「辛丑、須彌山(シュミセン)の像を飛鳥の寺の西に作(つく)て」(出典日本書紀(720)斉明三年七月(北野本南北朝期訓))
    2. [その他の文献]〔勝鬘経‐摂受章〕
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. 「しゃみせん(三味線)」の転。
      1. [初出の実例]「酒宴の時須彌山などひかせ」(出典:三藐院記‐文祿三年(1594)五月二〇日)
    2. しゅみせんじる(須彌山汁)
      1. [初出の実例]「しゅみせん なもとうふもいかにもこまかにきりたるをいふ。みそしるにだしくわふ」(出典:料理物語(1643)九)

すみ‐せん【須彌山】

  1. しゅみせん(須彌山)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「仍(よ)りて須彌山(スミセン)の形、及び呉橋(くれはし)南庭に構けと令(おほ)す」(出典:日本書紀(720)推古二〇年五月(北野本訓))

すみ‐の‐やま【須彌山】

  1. しゅみせん(須彌山)
    1. [初出の実例]「身づから、すみの山を、右の手に捧げたり、山の左右より、月日の光さやかにさし出でて、世を照らす」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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