預合(読み)あずけあい

精選版 日本国語大辞典 「預合」の意味・読み・例文・類語

あずけ‐あいあづけあひ【預合】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 定期取引の際の転売、買い戻しと同様の効果があるようにくふうされた便宜的な取引方法。売買当事者が、その取引の行なわれた時の相場によって定められた標準値段に基づき、相互に物件とその代金の貸借をして、受け渡しおよび損益決算を行ない、以後売買当事者がその返済を完了するまで延滞利息を払って、売買関係を継続するもの。直取引。
    1. [初出の実例]「更に仲買間の預合二千五百枚を合すれば」(出典:中外商業新報‐明治三七年(1904)一月一日)
  3. 株式会社または有限会社の発起人取締役が、銀行や信託会社と結託して、株式または出資金の払い込みを行なわないのに行なったように装う行為商法で禁止。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「預合」の意味・わかりやすい解説

預合
あずけあい

株式会社の設立に際し、発起人または取締役が払込取扱金融機関から借金をし、それを設立中の会社の預金に振り替えて株式の払込みを仮装し、他方この借入金を返済するまでその預金を引き出さないことを約束する行為。預合は資本の充実を害するため、会社法では罰則(965条)をもってこれを取り締まるとともに、募集設立では払込取扱金融機関も払込金の保管証明をした金額について払込みがなかったと会社に主張できないなどの厳しい規定がある(64条)。払込みの仮装行為には、このほか、会社設立に際して発起人が払込取扱金融機関以外の者から借り入れた金を株式の払込みにあて、会社設立後これを引き出して借入金の返済にあてる「見せ金」という方法もある。

[戸田修三・福原紀彦]

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