顔延之(読み)がんえんし

精選版 日本国語大辞典 「顔延之」の意味・読み・例文・類語

がん‐えんし【顔延之】

中国六朝時代、宋の詩人。山東臨沂(りんき)の人。字(あざな)延年古典言葉を駆使した、典雅作風により、謝霊運とともに「顔謝」と並び称された。代表作は「秋胡詩」「赭白馬賦」。(三八四‐四五六

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デジタル大辞泉 「顔延之」の意味・読み・例文・類語

がん‐えんし【顔延之】

[384~456]中国、南北朝時代そうの詩人。臨沂りんき山東省)の人。あざなは延年。詩風彫琢を凝らし、謝霊運しゃれいうんと並び称せられる。陶淵明とうえんめいとも親交があった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「顔延之」の意味・わかりやすい解説

顔延之
がんえんし
Yan Yan-zhi

[生]太元9 (384)
[没]孝建3 (456)
中国,六朝時代文学者。臨沂(山東省)の人。字,延年。諡は憲子。宋の武帝,少帝,文帝に仕え,地方と中央を往復し,秘書監光禄勲退官,金紫光禄大夫を授けられた。それによって顔光禄ともいわれる。酒を好み,六朝貴族らしい気ままな言行が多かったが,文学では早くから名を上げ,謝霊運と並んで「顔謝」と称された。典故を多用し,字句に彫琢を凝らす技巧的な作風で,個性に乏しいが,阮籍嵆康竹林の士(→竹林の七賢)を詠じて思いを述べた『五君詠』,また『秋胡詩』などが代表作。では『赭白馬賦』が有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「顔延之」の意味・わかりやすい解説

顔延之
がんえんし
(384―456)

中国、南朝宋(そう)の詩人。字(あざな)は延年。本籍は臨沂(りんぎ)(山東省)で、曽祖父(そうそふ)の代に南へ移った。貧窮から身をおこし、晋(しん)・宋の交代期に遭遇して、孝武帝のとき金紫光禄大夫(きんしこうろくたいふ)に至った。酒を好み、傍若無人の性質であったので左遷されたりもした。若いころ陶淵明(とうえんめい)と交わり、その死を悼んで『陶徴士誄(るい)』を書いたことは有名(『文選(もんぜん)』に収められる)。詩風は彫琢(ちょうたく)を凝らした美しさで、謝霊運(しゃれいうん)と並べて「顔謝」の称があり、鮑照(ほうしょう)が2人を評し、「謝の詩は自然で愛すべきだが、君の詩は雕絵満眼(ちょうかいまんがん)だ」といった。長寿を保ち文壇の領袖(りょうしゅう)として重きをなすに至る。霊運、鮑照とともに「元嘉(げんか)三大詩人」とよばれる。

[石川忠久]

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世界大百科事典 第2版 「顔延之」の意味・わかりやすい解説

がんえんし【顔延之 Yán Yán zhī】

384‐456
中国,南朝宋の代表的詩人。謝霊運とともに〈顔謝〉とならび称された。字は延年。典故の使用がめだち,その影響をうけた詩は書物の抜書きのようになったと鍾嶸(しようこう)の《詩品》は批判する。詩作品のほか,何承天の《達性論》に反論した《釈達性論》には儒教と仏教の思想の調和がみとめられ,また《庭誥(ていこう)》は興味ぶかい家訓のひとつ。顔光禄とよばれるのは,宋の孝武帝の金紫光禄大夫となったからである。【吉川 忠夫】

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