顧みる(読み)カエリミル

デジタル大辞泉 「顧みる」の意味・読み・例文・類語

かえり・みる〔かへりみる〕【顧みる】

[動マ上一][文][マ上一]
過ぎ去った事を思い起こす。回顧する。「半生を―・みる」
心にとどめ考える。気にかける。「妻子を―・みない」
振り返って見る。「後方を―・みる」
[類語](1追憶懐旧懐古懐かしむ追想回想回顧記憶追懐懐郷望郷振り返る思い返す偲ぶ/(3振り返る振り向く背ける振り向ける見返る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「顧みる」の意味・読み・例文・類語

かえり‐・みるかへり‥【顧・省】

  1. 〘 他動詞 マ行上一 〙
  2. たち帰って、見る。もどって見る。
    1. [初出の実例]「磐代の浜松が枝を引き結びま幸(さき)くあらばまた還見(かへりみ)む」(出典万葉集(8C後)二・一四一)
  3. 後方をふりかえる。ふりかえって、見る。
    1. [初出の実例]「思ひつつ来れど来かねて水尾(みを)の崎真長(まなが)の浦をまた顧(かへりみ)つ」(出典:万葉集(8C後)九・一七三三)
    2. 「ちかづく者あらば射ころさむと、頻にあとをかへりみて」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
  4. 過去を回想する。
    1. [初出の実例]「四荒を覧て顧(カヘリミ)(おもふ)」(出典:漢書楊雄伝天暦二年点(948))
  5. わが身を反省する。
    1. [初出の実例]「躬を撫でて自ら省(カヘリ)み」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七)
    2. 「佗をもてわれをかへりみ」(出典:正法眼蔵(1231‐53)弁道話)
  6. 心にかける。考慮する。懸念する。
    1. [初出の実例]「独り、嗣の位を定めむと欲。顧(カヘリミ)群臣の従はざらむことを畏る」(出典:日本書紀(720)舒明即位前(北野本訓))
    2. 「古(いにしへ)ゆあげてし機(はた)も顧(かへりみ)ず天(あま)河津(かはづ)に年ぞ経にける」(出典:万葉集(8C後)一〇・二〇一九)
  7. 世話をする。
    1. [初出の実例]「しぐれのみふる山里の木のしたはをる人からやもりすぎぬらむ、とありければ、かへりみたまはぬ心ばへなりけり」(出典:大和物語(947‐957頃)三二)

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