風信帖(読み)フウシンジョウ

デジタル大辞泉 「風信帖」の意味・読み・例文・類語

ふうしんじょう〔フウシンデフ〕【風信帖】

平安前期、弘仁3~4年(812~813ころ空海最澄にあてた3通の書状巻子本かんすぼんとしたもの。京都教王護国寺蔵。

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精選版 日本国語大辞典 「風信帖」の意味・読み・例文・類語

ふうしんじょう‥デフ【風信帖】

  1. 書簡集。巻子(かんす)仕立。空海から最澄に宛てた書状三通(もと五通)を集めたもの。第一通の初めに「風信雲書」とあるところから呼ばれる。空海の真跡中、最も円熟した時期のものとされ、書の手本とされる。延暦寺旧蔵。教王護国寺蔵。国宝。弘法大師筆尺牘(せきとく)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風信帖」の意味・わかりやすい解説

風信帖
ふうしんじょう

平安前期(9世紀初頭)空海から最澄にあてた手紙三通を、のちに一巻の巻物に仕立てたもの。国宝。名の由来は第一通目の冒頭に「風信雲書……」とあるのによる。もと五通が伝わったが、一通は鎌倉時代に盗難にあい、いま一通は豊臣(とよとみ)秀次が1592年(文禄1)に召し上げた。空海40歳前後、812~813年(弘仁3~4)の筆跡と推定される。三筆の1人にあげられる空海の遺墨中の第一として、古来もっとも喧伝(けんでん)されており、空海と最澄の交遊を知るうえにも重要な史料である。比叡山(ひえいざん)延暦寺(えんりゃくじ)に伝来したが、古く京都・東寺(教王護国寺)に寄進され現在に至る。

松原 茂]

『小松茂美著『日本書道説林 上(風信帖の研究)』(1973・講談社)』『佐和隆研・中田勇次郎編『弘法大師真蹟集 五』(1973・法蔵館)』

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改訂新版 世界大百科事典 「風信帖」の意味・わかりやすい解説

風信帖 (ふうしんじょう)

空海から最澄にあてた尺牘(せきとく)(書状)。3通をおさめている。最初の尺牘が〈風信雲書〉と始まるので古来《風信帖》と呼んでいる。もと5通が収められていたが,1通は盗難にあい,1通は天正年間(1573-92)に関白豊臣秀次に所望され進上している。現在は京都の東寺蔵。空海が806年(大同1)帰朝すると,最澄は空海が請来した経典借用や,真言の伝授を盛んに依頼しているが,これらの来信に対する返書で,空海の真筆であることが確実なものの一つである。王羲之の書法の上に顔真卿の法を加えた独自の風を見せている。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「風信帖」の解説

風信帖
ふうしんじょう

空海が最澄にあてた812~813(弘仁3~4)頃の手紙3通。1巻。もと5通あったが,1通は盗難,1通は関白豊臣秀次に進上されたという。書出しの「風信雲書」からこの名がある。その書は,伝統的王羲之(おうぎし)の書法に顔真卿(がんしんけい)の書法を加味し,日本書道史上最も著名な名品。空海と最澄の親交を物語るものとして仏教史上意義深い。教王護国寺蔵。縦29.7cm,第1通横57.6cm,第2通横49.1cm,第3通横52.1cm。国宝。

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百科事典マイペディア 「風信帖」の意味・わかりやすい解説

風信帖【ふうしんじょう】

空海から最澄への書状3通を1巻にまとめたもの。名は冒頭の〈風信雲書…〉にちなむ。空海の書が円熟の境に入った812年ころのもので,空海の真跡中の名品として貴重である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「風信帖」の意味・わかりやすい解説

風信帖
ふうしんじょう

空海から最澄にあてた書状3通を巻子本 1巻に仕立てたもの,国宝。教王護国寺蔵。第1通の冒頭に「風信雲書,天より翔臨す云々」とあるのでこの名がある。空海と最澄の間が最も親密であった弘仁3 (812) ~4年頃の筆跡と推定されている。空海の真跡中でも傑作に属する。

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旺文社日本史事典 三訂版 「風信帖」の解説

風信帖
ふうしんじょう

平安初期,空海の書状集で,唐風書道の代表的作品
812年ころの成立。最澄に送った返書3通を集めたもので,冒頭の「風信雲書……」から名づけられた。濶達の中に枯淡の筆致が味わわれ,王羲之 (おうぎし) ・顔真卿 (がんしんけい) の影響が認められる。教王護国寺(東寺)蔵。国宝。

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