風雲(読み)フウウン

デジタル大辞泉 「風雲」の意味・読み・例文・類語

ふう‐うん【風雲】

風と雲。風や雲。また、自然。
事の起こりそうな情勢
維新の―に際会して身を起し」〈蘆花不如帰
竜が風と雲とを得て天に昇るように、英雄豪傑頭角を現す好機
[類語]天候気候天気陽気気象日和風土季候時候寒暖寒暑空模様空合い

かぜ‐くも【風雲】

風と雲。風や雲。
《風に吹かれて流れる雲を見立てて》使いの者。
「あしひきの山河へなり―にことは通へど」〈・四二一四〉
かざぐも1」に同じ。

かざ‐ぐも【風雲】

強風が吹く前兆とされる雲。かぜくも。
「是こそ―よ、と申しも果てねば、大風落ちきたる」〈義経記・四〉
かぜくも1」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「風雲」の意味・読み・例文・類語

ふう‐うん【風雲】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 風と雲。風や雲。自然の風物。自然。
    1. [初出の実例]「亦猶風雲気色、有于常」(出典:続日本紀‐養老五年(721)二月甲午)
    2. [その他の文献]〔史記‐老子伝〕
  3. 龍が風と雲に乗って天に昇るように、英雄豪傑が世の中に頭角を現わす時機
    1. [初出の実例]「当初豈無貔虎士、風雲黯澹誰料理」(出典:六如庵詩鈔‐二編(1797)四・題友人所蔵相撲節会図)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐朱祐等伝論〕
  4. 事の起こりそうな天下の情勢。大きな社会変動。
    1. [初出の実例]「維新の風雲(フウウン)に際会して身を起し」(出典:不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉上)

かぜ‐くも【風雲】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 風と雲。風や雲。自由にゆきかうことから、消息を伝える使いにもたとえる。
    1. [初出の実例]「あしひきの 山河へだて 風雲(かぜくも)に 言は通へど ただに会はず」(出典:万葉集(8C後)一九・四二一四)
  3. 風に吹かれて動く雲。風によって流れる雲。
    1. [初出の実例]「風流之士(みやびお)独り蒼海に汎(うか)べり。近しく語らはむ思に勝(た)へず風雲(かぜくも)の就(むた)来つ」(出典:丹後風土記逸文(釈日本紀所載)(1274‐1301))
  4. かざぐも(風雲)

かざ‐ぐも【風雲】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 風の吹きおこる前ぶれとして現われる雲。かぜぐも。
    1. [初出の実例]「弁慶『是こそかざぐもよ』と申しも果てねば、大風落ち来(きた)る」(出典:義経記(室町中か)四)
  3. かぜくも(風雲)

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普及版 字通 「風雲」の読み・字形・画数・意味

【風雲】ふううん

風と雲。また、はげしい情勢。変幻の才。唐・李白〔猛虎行〕詩 楚人(つね)に(い)ふ、張旭の奇なることを 心に風雲をするも、世知る(な)し

字通「風」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「風雲」の解説

風雲

海音寺潮五郎歴史小説。1936年刊行。

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