飛鳥山(読み)アスカヤマ

デジタル大辞泉 「飛鳥山」の意味・読み・例文・類語

あすか‐やま【飛鳥山】

東京都北区南部にある台地江戸時代からの桜の名所で、明治6年(1873)に公園となる。→飛鳥山公園

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「飛鳥山」の意味・読み・例文・類語

あすか‐やま【飛鳥山】

  1. [ 一 ] ( 飛鳥神社があったところからいう ) 東京都北区、王子駅の南西側に接する台地。元文二年(一七三七)八代将軍吉宗が王子権現に寄付してから市民に開放された。桜の名所。明治六年(一八七三)飛鳥山公園となる。
  2. [ 二 ] 奈良県飛鳥地方を中心にした諸方の山。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「飛鳥山」の解説

飛鳥山
あすかやま

JR王子おうじ駅南方、石神井しやくじい川南岸にある丘陵山名は山中の地主山という小高い地点に飛鳥明神社が祀られていたことに由来するという。本来は滝野川たきのがわ村の領域で将軍が鷹狩するための御立場が設置された場所であったが、寛永一〇年(一六三三)幕府はこれを旗本野間家の地頭林にするとともに一部を王子権現の社領とした。飛鳥明神も同権現境内に移された(風土記稿)。以後飛鳥山は石神井川北岸の王子村のうちと認識されるようになった。飛鳥山は現在も桜の名所として広く知られるが、この出発点となったのは将軍徳川吉宗による享保改革の初期であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「飛鳥山」の意味・わかりやすい解説

飛鳥山 (あすかやま)

東京都北区の小丘陵。武蔵野台地東縁が荒川低地に接する崖上にあり,北東側直下にJR京浜東北線王子駅がある。地名は元亨年間(1321-24)に豪族豊島氏居城の守護神として熊野の飛鳥明神をここに勧請したことに由来する。標高は27mにすぎないが,台地末端の急崖上から荒川低地を眼下に見下ろし,晴れた日には遠く筑波山や日光連山まで見通せた。徳川8代将軍吉宗は,当時旗本野間氏の所領であったこの地を石神井(しやくじい)川のすぐ北の王子権現に寄進し,1000本をこえる桜を植えて一般に公開したため,上野,向島と並ぶ桜の名所となり,紅葉の滝野川とともに江戸の郊外行楽地として親しまれた。1873年,東京府の五大公園の一つとなり,上野と並ぶ春の行楽地で,運動会などにも利用される。面積約4.4ha。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「飛鳥山」の意味・わかりやすい解説

飛鳥山
あすかやま

東京都北区南部、山手(やまのて)台地の末端にある丘。JR京浜東北線王子(おうじ)駅の西側にあり、急崖(きゅうがい)となっている。かつてこの地の豪族豊島氏(としまうじ)が居城鎮護のため元亨(げんこう)年間(1321~1324)飛鳥明神を祀(まつ)ったのが地名の由来。江戸時代、上野、向島(むこうじま)と並ぶサクラの名所(サクラは将軍徳川吉宗(よしむね)の寄進)であった。眺望もよく江戸市民に親しまれた。1873年(明治6)には太政官(だじょうかん)布告による東京府五大公園の一つとなる。北側に石神井川(しゃくじいがわ)(音無(おとなし)川)が曲流し、氾濫(はんらん)をたびたびおこしたので、山の下をトンネルで抜ける工事が行われ、1983年(昭和58)完成。現在、飛鳥山公園となっている。都電荒川線の飛鳥山停留場がある。

[沢田 清]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「飛鳥山」の意味・わかりやすい解説

飛鳥山【あすかやま】

東京都北区,王子駅西側の台地。武蔵野台地末端に当たり標高27m。中世は豊島氏の領知で,江戸時代上野,隅田と並ぶ桜の名所で,王子稲荷参拝客や遊山客でにぎわい,1738年水茶屋54軒を数えた。現在飛鳥山公園(約4.5万m2)になっているが昔の面影はない。
→関連項目王子北[区]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「飛鳥山」の意味・わかりやすい解説

飛鳥山
あすかやま

東京都北区南部の景勝地。山手台地が荒川の沖積地にのぞむ地点にあって眺望がよく,江戸時代以来のサクラの名所。飛鳥山公園は,1873 (明治6) 年太政官布告で日本最初の公園の1つに制定された。園内には佐久間象山の「桜花賦」の碑や勧農家船津伝次平の碑などがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android