溶液と溶解していない溶質(たとえば結晶)が共存し,溶液中の溶質と未溶解の溶質の間に溶解平衡が成り立っているとき,溶液の濃度は,定温,定圧において一定の値を示し,それ以上の濃度にはならない。この溶液を飽和溶液といい,そのときの溶質の濃度を溶解度という。溶質が気体の場合には,飽和溶液の濃度は圧の影響をとくに受ける。たとえばビール瓶の栓を抜くと気泡が激しく発生することでもわかる。溶質が液体の場合には,溶解の限度がなく,たとえば水とエチルアルコールのように任意の割合で溶け合うことがある。
相律によると,溶質が気体の場合は独立な自由度は2になり,温度を決めると濃度(この場合は溶解度)は圧力に依存する。この場合,濃度が圧力に比例することを述べたのが〈ヘンリーの法則〉である。また,溶質に不純物が含まれていれば,その分だけ成分の数が多くなり,自由度がそれだけ増える。すなわち溶解していない共存溶質の量を変えれば,溶解度も変わることになる。
化学実験のさいに,溶液を熱いまま放置し,翌日その溶液をみると,容器の底に結晶が析出していることがある。この現象は,溶液の温度が下がることにより徐々に飽和の濃度に達し,さらに液温が下がって溶解限度以上になった溶質が結晶として析出し,室温における飽和の平衡状態を保っていることを示す。
執筆者:橋谷 卓成
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
溶液が遊離の溶質(液底体など)と平衡に存在しているときには、溶液中の溶質濃度は一定となる。この状態を飽和というが、この一定濃度の溶液が飽和溶液である。飽和溶液の濃度は、溶媒に対する溶質の溶解度によって定まる。常温における飽和食塩水はほぼ26%の食塩を含む。溶解度は(100グラムの水に対し)36グラムであるから、簡単に計算で飽和濃度が得られる。ときとして、飽和濃度以上に溶質を含む溶液をつくれるが、これは過飽和溶液といい、熱力学的に安定な状態ではなく、準安定状態である。なんらかの刺激によって溶質の過剰分を析出して飽和溶液となりやすい。
[山崎 昶]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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溶液にさらに溶質を加えても,これ以上溶解が進まないような状態になり,そのなかにまだ溶けきれないで遊離している溶質と溶液との間に,安定な平衡が成り立っているような溶液をいう.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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