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デジタル大辞泉
「養殖」の意味・読み・例文・類語
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養殖【ようしょく】
水産生物を飼養して,人工的に繁殖させること。水産生物の繁殖を自然の環境内で,技術的あるいは法令,規則などにより助長し,数量の増加を行うことは増殖と呼び,また漁獲された水産生物を区画された水面に飼養し,市場価格の上昇時に販売することは蓄養と呼んで区別する。養殖は内水面養殖(淡水)と海面養殖に大別。前者には池中養殖(コイ,ニジマス,アユ,ウグイ,ウナギ,キンギョ,各種熱帯魚,スッポン,ウシガエル),水田養殖(コイ,ドジョウ),粗放な溜池(ためいけ),干潟池,河川での養殖(コイ,ボラ,フナ)がある。後者には陸上の養殖池や廃止塩田を用いた池中養殖(クロダイ,ボラ,スズキ,クルマエビ),海面を堤防や網で仕切った区画養殖(ブリ,マダイ,トラフグ),筏(いかだ)や縄を用いた垂下式養殖(カキ,アコヤガイ,ホヤ,ワカメ,カイメン),網やそだ【ひび】建による養殖(ノリ,カキ),干潟や浅海面を利用した地撒(じまき)式養殖(カキ,アサリ,ハマグリ,サルボオ,ホタテガイ)がある。池中養殖では流水式,半流水式もある。ふつう,産卵,稚魚または幼生の育成,食用魚介の養成などは別々の場所で行われることが多く,成長は放養密度,投餌量,水温など環境条件により影響される。養殖業は日本において最も発達している。→栽培漁業/養殖真珠/養鰻(ようまん)
→関連項目漁業|水産業|マリノフォーラム21
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養殖
ようしょく
有用水産生物の育成に関することばで、一般的には水産養殖の略称。生物の生活史の全部、あるいは一部を人間が管理して育て、数・量の増収を図ることを目的とする。これらの事業を総括して、「養う」という概念より「増やす」という概念を強調して増殖(水産増殖)のことばが用いられることもあり、養殖と増殖とのことばの使い方は明確に区別されているわけではない。対象生物を育成する場合、たとえばウナギの養殖、ハマチの養殖、カキの養殖などとよばれ、また育成場所によって池中養殖、河川養殖、海面養殖などとよばれている。
なお、養殖の語は有用陸生動物の育成事業でも、ミンクの養殖などのように使われることがあるが、多くは養豚(ようとん)とか養鶏(ようけい)などのことばが定着している。
[出口吉昭]
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養殖
ようしょく
raising culture
水産生物を比較的狭い水域で,人工的かつ計画的に繁殖,飼育すること,またはその技術。ヨーロッパでは古代ギリシア・ローマ時代に,海から幼魚をさかのぼらせて池で飼い食用にしたとあり,日本でも景行天皇のとき,美濃国で池にコイを飼ったと伝えられる。その後,コイ,ニジマス,ウナギなど淡水魚の池中養殖と,ノリ,カキ養殖などが中心になって発展した。その方法は,魚類,貝類,甲殻類,海藻類など対象種によって異なるが,大別して海産生物を主体とするものと,淡水魚を主体とするものとがある。海産生物では,カキ,アコヤガイ,ホタテガイなど二枚貝とノリ,ワカメを中心とする海藻類はいかだ式の海面利用で,ブリ,クルマエビ,タイなどは内湾域や網仕切りで養殖する。また淡水魚ではコイ,キンギョ,ドジョウ,ウナギ,ニジマス,アユなどがあり,河川,湖沼,ため池,稲田などで養殖する。養殖施設内の水が常に流動しているものや流動させているものを流水式,水が動いていないものを止水式と呼んでいる。
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ようしょく【養殖 aquiculture】
有用な水産生物を増やし,育てること。水産養殖ともいう。同じような意味で古くから使われてきたことばに〈増殖(水産増殖)〉があるが,養殖と増殖の概念は時代とともに変化しており,今日も統一されているわけではない。生物学的にみれば,養殖も増殖も人が労力を加えて対象生物種の繁殖率,成長率,生残率などを高め,収獲量を増やそうとする行為であるが,生産方式や経営の面から両者を区別する考え方が有力である。すなわち,養殖では対象生物種の生涯のすべてないしは大部分を人が管理し,その生産物および生産手段の所有者がつねに明らかであるのに対して,増殖では対象生物種の天然水域での繁殖と成長を助長することが目的であり,生産物は漁獲されて初めて所有者が決まる。
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世界大百科事典内の養殖の言及
【生簀】より
…なお船のいけすのことを活間(いけま)とかかめ(甕)とか呼ぶことも多い。 従来はいけすというと比較的短期間飼っておく小規模のものが想起されたが,近年は養殖に用いられる大規模ないけすもある。内水面ではコイ,ウナギ,海面ではハマチ,マダイなどの養殖に用いられる。…
※「養殖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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