饗応(読み)キョウオウ

デジタル大辞泉 「饗応」の意味・読み・例文・類語

きょう‐おう〔キヤウ‐|キヨウ‐〕【×饗応/供応】

[名](スル)《「響応きょうおう」から》
酒や食事などを出してもてなすこと。きょうよう。「―を受ける」
(饗応)相手言動に逆らわずに迎合すること。へつらうこと。きょうよう。
「これは―の言なり」〈今昔・二四・二六〉
[類語]もてなす馳走ふるまう饗する相伴遇する接待歓待構いお構い愛想接客もてなし椀飯おうばん振る舞い造作

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「饗応」の意味・読み・例文・類語

きょう‐おうキャウ‥【饗応・享応・供キョウ応】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 相手の意にさからわないで迎合すること。へつらうこと。また、下へもおかないで扱うこと。きょうよう。
    1. [初出の実例]「『ふさはしからずにくし』とは思はれけれど、その座にては饗応し申してとりあらそひけり」(出典:大鏡(12C前)四)
  3. 酒や料理をとりそろえてもてなすこと。馳走すること。きょうよう。
    1. [初出の実例]「已以無饗応。依人被花」(出典明衡往来(11C中か)上本)
    2. 「客人に饗応せんときらめきたる」(出典:徒然草(1331頃)一一三)

饗応の語誌

( 1 )中国古典においては「響きが声に応じて起こるように、人の言葉や行動にすばやく反応すること」という意味で「響応」と書かれ、これが原義とされる。
( 2 )日本においては原義からの意味が生じ、また、「相手を喜ばせる」という部分に重点が移った結果、の意味が派生し、それに伴って「響」が「饗」と書かれるようになった。「供」は現代表記における代用字


きょう‐ようキャウ‥【饗応】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「よう」は「応」の漢音、「おう」は呉音 )
  2. きょうおう(饗応)
  3. きょうおう(饗応)
    1. [初出の実例]「大饗の甘栗の使ひなどに参りたるを、もてなしきゃうようし給ふさま」(出典:能因本枕(10C終)九二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の饗応の言及

【もてなし】より

… 一般に,近代の公法が成立する以前には,宗教的・倫理的義務と考えられたこうしたもてなしの慣習が,地縁的あるいは血縁的共同体とその外部の社会との関係を支えていたといえる。宴会贈物【野村 雅一】
【日本】

[中世]
 〈もてなし〉の本来の語義は,相手をだいじに扱う,面倒をみる,たいせつに待遇すること,またそうした人に対するふるまい方を意味するが,転じて饗応,馳走(ちそう)を意味するようになる。饗応の意で広く使われるようになるのは,尾張国熱田社の神官が性蓮という僧を〈請じ寄せて,さまざまにもてなし,馬・鞍・用途など沙汰して,高野へ〉送った(《沙石集》)とか,若狭国太良荘(たらのしよう)の預所が六波羅の小奉行を招待して〈もてなし申〉(《東寺百合文書》),引出物に用途1結,厚紙10帖を贈ったなどの用例にみられるように,鎌倉中期以降のことであった。…

※「饗応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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