精選版 日本国語大辞典 「骨格筋」の意味・読み・例文・類語
こっかく‐きん【骨格筋】
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骨格を動かす筋をいい、横紋筋細胞(線維)が集合して結合組織の膜に包まれた一つの器官である。骨格筋は少なくとも一つの関節をまたがって、その関節を構成する両骨に付着し、一方の骨を固定して他方の骨を動かす働きをする。骨格筋はその活動する場所によって大きさ、形状はさまざまで、極小の筋は中耳にある束状のアブミ骨筋、最大の筋は大腿筋(だいたいきん)などである。形状も羽状(大腿直筋)、半羽状(半膜様筋)、多羽状のほか、板状(板状筋)、三角形(三角筋)、方形(腰方形筋)などがある。骨格筋の典型は紡錘状(中央部が膨らんで筋腹となり、両端に向かって細くなる)で、その先端は腱(けん)組織に移行してそれぞれ骨に固着する。両端のうち、比較的動かない端を筋頭とよび、他端を筋尾とよぶが、筋頭が2~4分裂している場合には、二頭筋(上腕二頭筋)、三頭筋(下腿三頭筋)、あるいは四頭筋(大腿四頭筋)とよぶ。このほか、骨格筋が付着している体の部位によって名称がつけられることもある(大胸筋、大殿筋(だいでんきん))。骨格筋の筋腹が細長いときは、筋腹中間に腱組織が介在して筋腹を補強している場合がある。腹直筋はこの典型例で、3、4個の腱(腱画)が入っている。下顎(かがく)の下方に走る顎二腹筋は前腹、後腹に筋腹が分かれ、中間腱が舌骨に付着している。
骨格筋の収縮によって関節の運動がおこる場合、固定しているか、あまり動かない骨側の筋付着部を起始とよび、大きな動きをする骨側の筋の付着部を停止とよぶ。つまり、筋頭は起始側で、筋尾は停止側となる。骨格筋には基本的に起始、停止が決められているが、実際にはこの区別が明瞭(めいりょう)でない場合もある。筋個体は線維性結合組織の鞘(しょう)(外筋周膜、一般に筋膜とよぶ)に包まれ、その一部は筋線維束の内部に内筋周膜として進入し、さらに個々の筋線維間を取り囲む筋内膜となる。筋に分布する神経や血管はこの筋膜を通って筋線維に達する。筋膜は筋の両端で腱組織に移行し、骨膜に付着する。ヒトの骨格筋は随意筋で、脳脊髄(のうせきずい)中の運動神経細胞の神経線維が分布している。この運動神経線維末端(神経終末)と筋線維との接触部を運動神経終板、あるいは神経筋接合部とよび、この部分は運動神経興奮によってアセチルコリンが分泌され、筋線維を刺激する。
骨の運動形式は、骨格筋が骨に付着する部位によって異なるため、これによって筋の分類がなされる。以下、おもなものをあげる。(1)屈筋=関節の角度を減らす(例、上腕二頭筋)、(2)伸筋=関節角度を増し、屈曲位から正常な位置に戻す(例、上腕三頭筋)、(3)外転筋=体の正中線から骨格を遠ざける(例、三角筋)、(4)内転筋=正中線に近づける(例、大胸筋、大腿内転筋群)、(5)内・外旋筋=軸を中心にして回転させる(例、小円筋、肩甲下筋)、(6)挙筋=体の一部を引き上げる(例、肩甲挙筋、精巣挙筋)、(7)下制筋=体の一部を引き下げる(例、口角下制筋)、(8)括約筋=開口部を閉じる(例、咽頭(いんとう)括約筋、肛門(こうもん)括約筋)。また、手や足の場合には、手掌や足底を上下に向ける回外筋、回内筋がある。
ある運動を行う場合、一般に骨格筋は単独で働くよりもいくつかの骨格筋群として働くが、このとき、運動の主体となる筋を主要作動筋(主動筋、主力筋)といい、その筋と同時に収縮する筋を協力筋とよぶ。協力筋は主要作動筋の働きを効果的に高める。主要作動筋が収縮しているとき、弛緩(しかん)している筋を拮抗筋(きっこうきん)(対抗筋)とよび、反対の運動を行う働きをもっている。屈筋に対しては伸筋が拮抗筋となる。また、骨格筋では、その運動を円滑にするため補助装置が存在する。筋や腱が収縮運動を行う場合、骨面や皮膚とすれ合う部分では両者の間に滑液包という結合組織性の小さい嚢(のう)があり、摩擦を減少させて円滑に収縮運動ができるようになっている。この小嚢内には粘液が含まれている。
[嶋井和世]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…随意運動を行うのは原則として横紋筋striated muscle(または随意筋voluntary muscleという)で,その多くは関節を越えて隣接する二つの骨に付着している。したがって横紋筋のことを骨格筋skelet muscleともいう。しかし横紋筋のなかには,一端が皮膚に付着しているものがあり,これを皮筋skin muscleという。…
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