高祖(読み)こうそ

精選版 日本国語大辞典 「高祖」の意味・読み・例文・類語

こう‐そ カウ‥【高祖】

[1] 〘名〙
① 遠い先祖。また、四代前の先祖。祖父の祖父母
※吾妻鏡‐治承四年(1180)九月二二日「左近少将維盛朝臣〈略〉去嘉承二年十二月十九日。彼高祖正盛朝臣〈于時因幡守〉奉宣旨」 〔春秋左伝‐昭公一五年〕
中国で、ある王朝を始めた最初の天子。創業の天子。漢の高祖劉邦、唐の高祖李淵など。
今昔(1120頃か)一〇「芒山に高祖の隠れ居たりける木の上には」
③ 仏教で、一宗・一派の創始者。また、非常に徳の高い僧。開祖開基
※私聚百因縁集(1257)七「三界大師とをはします釈迦如来、真言高祖(カウソ)と在す龍猛菩薩」
[2]
[一] 中国、漢の始祖。劉邦(りゅうほう)
[二] 中国、三国魏の相で晉朝の遠祖。司馬懿(しばい)
[三] 中国、南北朝の東魏の大臣で北斉の祖。高歓(こうかん)
[四] 中国、唐朝の初代皇帝。李淵(りえん)
[五] 中国、五代後晉の建国者。石敬瑭(せきけいとう)
[六] 中国、五代後漢の建国者。劉知遠(りゅうちえん)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「高祖」の意味・読み・例文・類語

こう‐そ〔カウ‐〕【高祖】

祖父母の祖父母。
遠い先祖。
中国などにおける皇帝の廟号の1つ。太祖とならび、王朝を始めた皇帝に贈られた。劉邦りゅうほう李淵りえんなど。
一宗一派を開いた高僧

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版 「高祖」の意味・わかりやすい解説

こうそ【高祖 Gāo zǔ】

566‐635
中国,朝の創立者で初代皇帝。在位618‐626年。姓名は李淵。高祖は廟号。唐代の書物に〈淵〉字の代用に他字(たとえば〈深〉)をあてることがあるのは,高祖の諱(いみな)を避けたものである。西涼を興した隴西(ろうせい)の名族李暠の子孫と伝えられるが疑わしい。通婚関係などから北族の血を交えていると思われる。北魏時代武人として武川鎮(内モンゴル,フフホト北方)に移住した。李淵の祖父李虎のとき宇文泰らと西魏創建,当時最高の将帥たる柱国大将軍の一人であった。

こうそ【高祖 Gāo zǔ】

前256か247‐前195
中国,前王朝の創始者。在位前202‐前195年。姓は劉,名は邦,字を季という。漢朝の太祖のゆえに死後,高皇帝と尊号された。布衣の身から皇帝になった人物として,明朝の太祖洪武帝朱元璋と並び称せられる。沛(はい)の豊邑(江蘇省豊県)に生まれた。父は太公,母は劉媼(劉家のばあさん)と史書に残るだけで,名前はわからない。中農程度の農民家庭であった。竜が劉媼の上にのって身ごもり,劉邦が生まれたと伝えられるが,これは英雄の出生譚によくある感生伝説といえよう。

こうそ【高祖 Gāo zǔ】

892‐942
中国五代の後の建国者。石敬瑭が姓名,高祖は廟号。突厥(とつくつ)系の出身。後唐明宗の第一の功臣として宣武(開封)など,いくつかの要地の節度使を兼ね,のち契丹との最前線太原に鎮し,その防衛に当たった。彼と相いれない廃帝が明宗の没後に即位すると,契丹と結んで帝位につき大晋と号し,その援助で後唐を滅ぼした(936)。その際,代償として契丹に莫大な歳幣を約し,契丹国王を父と呼んで臣事した。またこのときの長城以南の地である燕雲十六州割譲は長く係争の地となった。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高祖」の意味・わかりやすい解説

高祖
こうそ

中国、皇帝を太廟(たいびょう)に祀(まつ)るとき追贈される廟号(びょうごう)の一つ。元来は5世の祖(曽祖父(そうそふ)の父)の称。太祖と並んで、おおむね王朝の創立者に贈られる。

[尾形 勇]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の高祖の言及

【漢】より

…前202‐後220年。秦の滅亡(前206)後,項羽と覇権を争って勝利を収めた農民出身の劉邦(漢の高祖)によって創建された。前206年,劉邦は項羽より漢王に封ぜられたが,漢の名はこれに由来する。…

【中国文学】より

…地方の俗謡とそのかえうたを含む。漢の高祖劉邦が作ったという〈大風(たいふう)の歌〉は彼の死後その祭りでうたわれたが,その曲は楚の地方の歌謡のふし(楚声)であった。やはり漢代の軍楽だったという〈短簫鐃歌(たんしようどうか)〉の数曲はおそらく北方中国の民族の歌謡であろう。…

【唐】より

…李淵はいったんは煬帝の子を擁立して恭帝とし,江都にいた煬帝を太上皇と称せしめたが,煬帝が殺されたという知らせを聞くや,恭帝に迫って禅譲させ,帝位についた。これが唐の高祖であり,ここに唐王朝が成立した。唐朝は,黄巣の乱後に黄巣の部下であった朱全忠に禅譲させられるまで,およそ290年の命脈を保ったが,8世紀半ばに起こった安史の乱ごろを境として,前半期と後半期とではあらゆる局面で性格を異にする。…

※「高祖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

少子化問題

少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...

少子化問題の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android