高齢者の体が若年者と大きく違う点は、機能が低下していることです。
また、胃腸機能が低下すると、薬効が現れるまでの時間が遅れ、剤型によっては胃腸で十分に崩壊・溶解しない場合もあります。さらに、年をとると判断力が鈍ってきたり、視力や聴力が低下したり、自己主張が強くなったりして、医師・薬剤師の指示を忘れたり、誤解するようになるため、薬のとり違えや、飲み忘れなどもおこしがちです。いちばん問題となるのが、高齢者はいろいろな病気をもっていることが多いため、薬の相互作用を考えると、使用できる薬の範囲が制限される点です。
高齢者で問題になるのは、副作用が出やすいという点です。若年者ではほとんど問題がおこらない薬でも、高齢者が服用すると重大な副作用をおこすこともあります。たとえば強心剤、
高齢者が薬を使用するにあたっては、いろいろな問題をおこさないためにも、次の注意をぜひ守ってください。
①医師から、肝臓・腎臓の機能の検査を指示されたときには、必ず受けること。
病気や機能が詳しくわからないうちは、医師は適切な診断や薬の処方ができない。実際には、一般成人の用量の3分の1から2分の1ぐらいの量から使いはじめ、検査結果を検討しながら、安全性を確かめた上で、徐々に増量している。
②自分の飲む薬の種類や性質をよく知っておくこと。不明な点があるときは、医師や薬剤師に時間をかけてよく聞き、聞いたことは薬袋などにメモしておくとよい。
③視力や聴力が低下している高齢者の場合は、家族か知人が医療機関まで同行する。
④薬の剤型は、医師や薬剤師とよく相談し、飲みやすいものを処方してもらう。
⑤十分に効果を発揮させ、食欲に影響を与えず、入れ歯などに詰まらせないためにも、どのような剤型の内服剤でも十分な水(コップ1杯の水)で服用する。
⑥症状がおさまっているからといって、処方された薬は一つでもかってに中止しない。また、決められた量を、決められた時間に飲むこと。たとえば、利尿剤を、朝飲むのを忘れたからといって夕方や夜に飲むと、トイレに通う回数が頻繁になって不眠を招き、病状が悪化することがある。
⑦慢性の病気をもっている場合は、長期間薬の処方が変わらなくても、一定間隔で医師の指示どおり診断や検査を受け、体と薬のチェックをすること。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報
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