(読み)ウツ

デジタル大辞泉 「鬱」の意味・読み・例文・類語

うつ【鬱/×欝】

[名]心が晴れ晴れしないこと。気がふさぐこと。憂鬱。「酒で―を散じる」「―状態
[ト・タル][文][形動タリ]草木が生い茂っているさま。鬱蒼うっそう
「周囲は老樹―として繁り」〈独歩馬上の友〉
[類語]沈鬱憂愁憂鬱メランコリー気鬱気塞ぎ鬱鬱陰鬱暗鬱鬱屈鬱結鬱気鬱悶鬱積抑鬱憂さ鬱陶しい物憂いびんびんせつせつ痛切切実深刻ひしひしつくづくしみじみじいん心から哀切哀れ悲しい物悲しいうら悲しいせつないつらい痛ましい悲愴悲痛悲傷沈痛苦しい憂い耐えがたいしんどい苦痛やりきれないたまらない遣る瀬ない断腸の思い胸を痛める胸が痛む胸が塞がるけだるいアンニュイ胸が裂ける胸が張り裂ける胸がつかえる胸が潰れる胸がつまる気を重苦しい滅入る気遣わしい塞ぐ塞ぎ込む消沈しょげるしょげ返る沈む悶悶もんもん

うつ【鬱】[漢字項目]

常用漢字] [音]ウツ(漢)
草木がこんもりと茂る。「鬱然鬱蒼うっそう
ふさがる。気分が中にこもる。「鬱鬱鬱血鬱積陰鬱躁鬱そううつ沈鬱憂鬱
こもった気が盛んなさま。「鬱勃うつぼつ
[補説]「欝」は俗字。
難読鬱金うこん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鬱」の意味・読み・例文・類語

うつ【鬱・欝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動タリ ) 草木の茂っていること。また、そのさま。転じて、物事の盛んなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「琶湖南兮国分嶺 古松鬱兮緑陰清」(出典:俳諧・猿蓑(1691)六・題芭蕉翁国分山幻住菴記之後〈向井震軒〉)
    2. 「この池は山の麓にあって、周囲は老樹鬱(ウツ)として繁り」(出典:馬上の友(1903)〈国木田独歩〉)
  3. 気がふさぐこと。また、はればれしない気持
    1. [初出の実例]「疑藤氏家門、併為公家之沙汰条、氏之神豈無其鬱哉」(出典:玉葉和歌集‐治承三年(1179)七月二六日)
    2. 「鬱(ウツ)を散じ憂(うれひ)を忘れ」(出典:談義本・根無草(1763‐69)後)
    3. [その他の文献]〔呂氏春秋‐仲夏紀・侈楽〕
  4. うつびょう(鬱病)」の略。⇔
    1. [初出の実例]「あれがウツの状態に変ると、まるで会社になんかでてこなくなる」(出典:新西洋事情(1975)〈深田祐介〉泣いてパリに馬謖を斬る)

おほほ&GIE599;し【鬱】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「おぼほし」とも )
  2. 対象の形、様子がはっきりしない。ぼんやりして明らかでない。
    1. [初出の実例]「海女(あま)をとめ漁(いざ)りたく火の於煩保之久(オボホシク)つのの松原思ほゆるかも」(出典:万葉集(8C後)一七・三八九九)
  3. 心が悲しみに沈んで晴れない。うっとうしい。
    1. [初出の実例]「国遠き路の長手を意保保斯久(オホホシク)今日や過ぎなむ言問(ことど)ひも無く」(出典:万葉集(8C後)五・八八四)
  4. 愚鈍である。
    1. [初出の実例]「はしきやし翁の歌に大欲寸(おほほしき)(ここの)の児らや感(かま)けて居(を)らむ」(出典:万葉集(8C後)一六・三七九四)

おぼお&GIE599;しおぼほし【鬱】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙おほほし(鬱)

おおお&GIE599;しおほほし【鬱】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙おほほし

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