鰯雲(読み)イワシグモ

デジタル大辞泉 「鰯雲」の意味・読み・例文・類語

いわし‐ぐも【×鰯雲】

白い小さな雲が、魚のうろこのように群がり広がっている雲。多く、巻積雲のことで、この雲が出るとイワシ大漁があるといわれた。鯖雲さばぐも鱗雲うろこぐも 秋》「―ひとに告ぐべきことならず/楸邨
[類語]白雲はくうん白雲しらくも青雲紫雲茜雲黒雲暗雲彩雲浮き雲千切れ雲片雲横雲棚雲豊旗雲笠雲飛行機雲筋雲鯖雲鱗雲薄雲羊雲群雲朧雲積み雲綿雲入道雲雲の峰かなとこ雲

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精選版 日本国語大辞典 「鰯雲」の意味・読み・例文・類語

いわし‐ぐも【鰯雲】

  1. 〘 名詞 〙 巻積雲の俗称。イワシが群がったような形で五〇〇〇メートル以上の空に発生。イワシの大漁または暴風雨前兆という。鯖雲(さばぐも)ともいう。うろこ雲。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「鰯雲鯛も蚫も籠りけり〈北枝〉」(出典:俳諧・薦獅子集(1693))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鰯雲」の意味・わかりやすい解説

鰯雲
いわしぐも

空高く、雲の小片が、魚の鱗(うろこ)のように、または、さざ波のように規則的に配列した美しい雲。鱗雲、鯖雲(さばぐも)、斑雲(まだらぐも)、羊雲(ひつじぐも)などともよばれる。10種雲級では巻積雲または高積雲に分類される。鰯雲とよばれる由来は、(1)イワシやサバの鱗を連想させる、(2)イワシの群れを連想させる、(3)イワシやサバの豊漁を予言している、というような説がある。新村出(しんむらいずる)著『語源をさぐる』には、すでに江戸時代元禄(げんろく)期(1688~1704)の俳句にこのことばが出てくると記されている。

[木村龍治]

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デジタル大辞泉プラス 「鰯雲」の解説

鰯雲

1958年公開の日本映画。監督:成瀬巳喜男原作和田伝脚色橋本忍出演淡島千景木村功中村鴈治郎清川虹子小林桂樹、太刀川洋一、大塚国夫ほか。第9回ブルーリボン賞脚本賞受賞。第13回毎日映画コンクール脚本賞、女優主演賞(淡島千景)、男優助演賞(中村鴈治郎)ほか受賞。

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百科事典マイペディア 「鰯雲」の意味・わかりやすい解説

鰯雲【いわしぐも】

巻積雲別名。イワシが群がったような形をしているからとも,またこの雲が出るとイワシがよく取れるからつけられたともいう。サバの背紋に似ているのでさば雲ともいう。

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とっさの日本語便利帳 「鰯雲」の解説

いわし雲

青空に点々と、小さい斑点や白い波紋を見せる雲。うろこ雲、さば雲ともいう。この雲が出るとイワシが大漁になるので名付けたという俗説もある。巻積雲(高度五~一三km)の俗称。秋を代表する最も美しい雲。

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世界大百科事典(旧版)内の鰯雲の言及

【雲】より

…これは雲中に発生した強い渦の軸と一致しており,地表に達するときこの渦は竜巻またはトルネードといわれている。
【地形性の雲その他】
いわし雲,うろこ雲,さば雲絹積雲の一種で魚のうろこのように見える雲。 雲海層積雲や積雲などがたなびいたときに山の上から眺めると海面のように見えるのでこの名がある。…

※「鰯雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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