翻訳|syrinx
鳥類の発声器官。哺乳類の喉頭に相当するが,喉頭とは形態も位置も異なる。多くの鳥類では,鳴管は気管が2本の気管支に分かれる分岐点に位置し(気管-気管支型鳴管),気管下部の3~6個の骨環と気管支上部の数個の半環で鼓室tympanumと呼ばれる共鳴装置を形成する。鼓室内中央の気管の分岐点には骨片に支えられた振動膜があり,振動膜は気管支の入口,骨環の間,半環の内側にも存在する。発声は呼気とともにこれらの振動膜が振動することによって行われ,鳴管筋が膜の緊張度の調節をする。一般に,鳴管筋の多いものほど複雑なさえずりが可能である。ある種の鳥類では鳴管は気管下部に位置し(気管型鳴管。一部の亜鳴禽類(あめいきんるい)),気管支にあるもの(気管支型鳴管。ヨタカ,カッコウなど)もある。ダチョウ,ハゲワシ,コウノトリなどでは鳴管は退化している。小鳥ではさえずるのは主として雄であるが,雌の鳴管が退化しているのではない。さえずりは神経とホルモンの支配を受けていて,雌雄の差も主にこれによる。ただし,雌では鳴管筋が雄より多少小さい傾向がみられる。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鳥類の発声器官。鳥類は、哺乳(ほにゅう)類のように喉頭(こうとう)で発声せず、気管の奥にある鳴管で声を出す。鳴管は、多くの鳥類では気管が2本の気管支に分かれる分岐点に位置するが(気管気管支型鳴管)、ある種の鳥類では、気管の下部(一部の亜鳴禽(めいきん)類の気管型鳴管)、あるいは気管支の上部(カッコウ・ヨタカ類などの気管支型鳴管)にある。鳴管の構造は、気管下部ないし気管支上部の数個の軟骨環が癒合して形成される鼓室tympanumといくつかの振動膜とよりなり、発声は呼気とともにこれらの振動膜が振動することによって行われる。鳴管には数対の鳴管筋syringeal muscleとよばれる筋肉が付着し、その収縮が振動膜の緊張度を調節するので一般に鳴管筋の多いものほど複雑なさえずりができる。
[森岡弘之]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…もともとアルカディア地方の神で,同地方に多いヤギの脚と角を持つ姿に想像された。彼は山野に美少年やニンフを追いかける好色な神とされ,彼の発明した楽器で常時携えて吹き鳴らすシュリンクスSyrinx(パンパイプとも呼ばれる葦笛)も,かつては彼の追跡を逃れようとして葦に変容した同名のニンフであったという。彼はまた牧人や家畜にえたいのしれない突然の恐怖(英語パニックの語源)を送ることでも知られるが,その原因は彼の昼寝を妨げて怒らせることにあると考えられた。…
…爬虫類以上の脊椎動物では,喉頭に2種の軟骨があるほか,気管と気管支の全長にわたり輪状または馬蹄形の気管軟骨が連続して重なり,気管が圧平されるのを防ぐ骨格になっている。鳥類の気管の分岐点には特殊な筋肉を備えた〈鳴管〉とよぶ発声装置があり,鳥はここで声を出す。鳥の気管は一般に長いが,ツル,ハクチョウなど一部の種類では頸部の長さよりはるかに長く,余分の部分はループをなして胸骨の内部,胸骨と大胸筋の間,大胸筋の表面などに収納されている。…
… 呼吸系でもう一つ鳥特有のものは発声器である。哺乳類や爬虫類では発声は喉頭(こうとう)で行われるが,鳥類では気管が2本の気管支に分岐するところに鳴管(めいかん)と呼ばれる共鳴器があり,発声をつかさどる。
[排出系]
鳥の腎臓は,同じ大きさの哺乳類のものと比べると約2倍の大きさがある。…
…
[陸生脊椎動物の発音器官]
発音器官は一般に発振装置とそこから発せられる音を増幅,変形させる共鳴装置からなる。陸生脊椎動物においては発振装置はいずれも呼吸器官の一部にある薄膜で声帯と呼ばれるが,鳥類だけは例外で鳴管によって発振する。共鳴装置は隣接する腔所ないし囊であるが,その構造,起源は多様である。…
※「鳴管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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