デジタル大辞泉
「麒麟」の意味・読み・例文・類語
き‐りん【×麒×麟】
1 偶蹄目キリン科の哺乳類。首と脚が長く、頭頂までの高さは6メートルに達し、アカシアなど高木の葉を食べる。舌が長く、雌雄とも角をもつ。体表は黄白色の地に栗色・砂色などの斑があり、網目模様に見える。アミメキリン・マサイキリンなどの亜種があり、アフリカに分布。ジラフ。中国名、長頸鹿。
2 中国の想像上の動物。聖人が出現する前兆として現れるといわれた。体形は鹿、蹄は馬、尾は牛に似て、頭に1本の角があり、全身から5色の光を放つという。一説に、麒は雄、麟は雌という。一角獣。
3 才能の傑出した人。麒麟児。
[類語]馬
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き‐りん【麒麟・騏&JISEFB1;】
- 〘 名詞 〙
- ① 古代中国で、聖人が出現して良い政治が行なわれる時に、そのしるしとしてこの世に現われるとされる想像上の動物。体は鹿、蹄(ひづめ)は馬、尾は牛、額は狼(おおかみ)に似ており、角(つの)が一本、全身は黄色、腹部は五色で、生物や生草を害さないという。一説に、雄が「麒」で、雌が「麟」。
- [初出の実例]「所謂る鳳凰・騏驎・白雉・白烏、〈略〉皆是れ、天地の生す休祥嘉瑞なり」(出典:日本書紀(720)白雉元年二月)
- [その他の文献]〔礼記‐礼運〕
- ② 一日に千里も走るというほど、よく走るすばらしい馬。駿馬(しゅんめ)。名馬。
- [初出の実例]「夫(それ)驥驎の尾につけるだにの一日に千里を飛ぶ」(出典:日蓮遺文‐撰時抄(1275))
- [その他の文献]〔韓愈‐雑詩〕
- ③ 「きりんじ(麒麟児)」の略。
- [初出の実例]「かかる勇者の出生す国々たり君々たる、日本のきりん是成(なる)はと、異国に武徳をてらしけり」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)三)
- [その他の文献]〔晉書‐顧和伝〕
- ④ キリン科の哺乳類。一属一種で、九亜種に分けられている。首と四肢(しし)が著しく長く、肩高約三メートル、頭頂までは五メートル以上に達し、陸上の哺乳類中最も高い。体毛は密で短く、灰色ないし淡褐色の地に暗褐色の大きな斑紋がある。頭頂に皮膚でおおわれた一対の短い角があるが、三本または五本のものもある。各肢のひづめは二個。アフリカの草原地帯にすみ、アカシアなどの葉や小枝を食べる。性質はおとなしく、走るのが速い。ジラフ。〔蛮語箋(1798)〕
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麒麟 (きりん)
qí lín
中国古代の想像上の動物。その形態は時代によって異なるが,全体のイメージとしては,体が鹿に似て頭に角があるという点でほぼ一貫している。一説に牡(おす)を麒といい,牝(めす)を麟というが,牝には角がない。ゆえに牡のもつ一角は,ヨーロッパのユニコーンにおけるそれと同様,天にむかってそそりたつ陽根のシンボルであったと思われる。しかし,儒家思想の台頭とともに,麒麟は仁徳ある王者や聖人が出現したときだけ人の目に触れるという伝説が形成されるようになった。例えば,孔子71歳のとき,野に無残な麒麟の死体を見て〈我が道窮(きわ)まれり〉とて泣いた(《春秋公羊(くよう)伝》),漢の武帝のとき白麟を得たので元狩と改元した(《漢書》)など。こうして麒麟は仁獣または瑞獣とされ,鳳凰(ほうおう),亀,竜と並んで四霊と呼ばれ,牡牝の交合によっては生まれない,啼(な)き声は音楽の音階に合っている,生きている草や虫を踏まないなどの伝説が生まれた。後世の角端(かくたん)も麒麟の亜種といえよう。
執筆者:中野 美代子
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麒麟
きりん
中国古代の想像上の動物。単に麟ともよぶ。またとくに雄を麒、雌を麟というともいわれ、竜、鳳凰(ほうおう)、亀(かめ)とともに四霊獣の一つとされた。初めは鹿(しか)に似た一角獣であったが、しだいに神秘的な要素を加えて複雑怪奇な姿になった。牛の尾、馬の蹄(ひづめ)、五色で彩られた体をもつ麒麟は、翼を広げてよく飛び、武器であるその角(つの)は先端が肉で覆われているため、相手を傷つけることがないとされた。そのため「麟は仁獣(じんじゅう)なり、王者あれば則(すなわ)ち至る」といわれ、聖天子の治世に限って出現する瑞獣(ずいじゅう)とされた。この麒麟像の形成には、西方世界からの影響があったとされるが、普通キリンとよばれているアフリカ生息のジラフとは、直接の関係はない。
[伊藤清司]
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きりん【麒麟】
新潟の日本酒。酒名は、地元の史跡「麒麟城」に由来。原料米を35%まで磨き上げ、低温長期発酵して醸す「大吟醸」は平成10~12、14、15、23年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。ほかに純米酒、本醸造酒、普通酒などがある。原料米は山田錦、五百万石など。仕込み水は常浪川水系の伏流水。蔵元の「下越酒造」は明治13年(1880)創業。当主は国税局酒類鑑定官を務めた醸造の専門家。所在地は東蒲原郡阿賀町津川。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報
麒麟【きりん】
中国の想像上の動物。西洋のユニコーンに対応する。鳳凰(ほうおう),亀,竜と並ぶ四霊の一。鹿に似て牛尾,一角。一説に雄を麒,雌を麟という。仁獣かつ瑞獣(ずいじゅう)で,聖王の代に出現するとされ,その死体を見て孔子は〈我が道窮(きわ)まれり〉と泣いた(《春秋公羊伝》)。
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麒麟 (キリン)
学名:Giraffa camelopardalis
動物。キリン科の哺乳動物
麒麟 (キリン)
麒麟 (キリン)
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の麒麟の言及
【石人石獣】より
…神道碑,華表ともいう)を立てたようである。石獣は虎,獅子,麒麟,羊,象などの形をとり,それらは一般に邪悪を避ける想像上の動物として辟邪とよばれている。つまり,悪霊が墓に入るのを防止する役割を担っているのである。…
※「麒麟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」