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オオムギを炒(い)り、熱湯で煮だした飲み物。麦湯ともいう。熱いまま飲むこともあるが、一般には冷たくして夏の飲料とする。麦を炒った香ばしい香りがある。現在は、麦類を炒った炒り麦のことも、炒り麦を熱湯で浸出した液も麦茶と称しているが、以前は浸出した液は麦湯といって、炒り麦とは区別していた。麦類を炒って飲料とする風習は、煎茶(せんちゃ)飲用の普及よりずっと古くからあったといわれる。江戸時代の文化・文政(ぶんかぶんせい)(1804~30)ごろには、麦茶は商売として売り出されるようになり、江戸の町々には麦湯店が現れ、たいへん繁盛した。炒り麦(麦茶)を買って、家庭で麦茶をつくるようになったのは明治中ごろからである。麦茶は、熱湯中に炒った麦を入れてから4~5分は煮立てたほうが、色も香りもよく出る。味を引き立てるために塩を少量加えることもある。
[河野友美]
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