麹塵(読み)キクジン

デジタル大辞泉 「麹塵」の意味・読み・例文・類語

きく‐じん〔‐ヂン〕【××塵】

色の名。灰色がかった黄緑色。染め色では紫根しこん刈安かりやすで染める。織り色では縦糸を青、横糸を黄で織る。天皇ほうの色で禁色きんじきとされた。きじん。きちん。
麹塵のほう」の略。

き‐じん〔‐ヂン〕【××塵】

《「きくじん」の音変化》黄色がかった緑色
「―の直垂ひたたれに」〈平家・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「麹塵」の意味・読み・例文・類語

きく‐じん‥ヂン【麹塵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 麹黴(こうじかび)の色によるという )
  2. 青色の黄ばんだ色。この色は特に天皇の褻(け)の袍の色として禁色(きんじき)。古くは刈安(かりやす)、紫草(むらさき)に灰を加えて染めたが、後世は緯(よこいと)は黄、経(たていと)に青を用いて織り、青色ともいう。きじん。やまばといろ。麹塵色。
    1. [初出の実例]「応手麹塵軽、候顔青眼潔」(出典:菅家文草(900頃)一・賦得折楊柳)
    2. [その他の文献]〔白居易‐代書詩一百韻寄微之〕
  3. きくじん(麹塵)の袍(ほう)」の略。
    1. [初出の実例]「可御位御衣歟、将御麹塵歟」(出典:小右記‐寛弘二年(1005)正月一八日)

き‐じん‥ヂン【麹塵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「きくじん(麹塵)」の変化した語。「きちん」とも ) 青色がかった黄色。きじんいろ。
    1. [初出の実例]「きぢん山吹止め摺りに、花村濃」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)

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