黄老(読み)コウロウ

デジタル大辞泉 「黄老」の意味・読み・例文・類語

こう‐ろう〔クワウラウ〕【黄老】

黄帝老子
黄老の学」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「黄老」の意味・読み・例文・類語

こう‐ろうクヮウラウ【黄老】

  1. [ 1 ] 黄帝と老子。道教開祖。〔史記‐申不害伝〕
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 道教。また、その教徒
    1. [初出の実例]「或王氏亦以為聖門之遺言、而実自黄老中来者門有之矣」(出典:童子問(1707)下)
    2. 「黄老の学者の地上の楽園も、つまりは索漠とした支那料理屋に過ぎない」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉地上楽園)
    3. [その他の文献]〔賈至‐君山〕

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普及版 字通 「黄老」の読み・字形・画数・意味

【黄老】こうろう(くわうらう)

黄帝と老子。〔史記、武帝紀〕上(しやう)儒(むか)ひ、賢良を招く。~狩・封襌・改色の事をせしめ、未だ就(な)らず。會(たまたま)竇(とう)太后、老の言を治め、儒を好まず。~の興爲する、皆廢す。

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改訂新版 世界大百科事典 「黄老」の意味・わかりやすい解説

黄老 (こうろう)
Huáng Lǎo

黄は黄帝,老は老子を意味し,黄帝と老子を始祖とする道家系の思想。《漢書》芸文志には黄帝の名を冠した書物が多く著録され,1973年,馬王堆漢墓から《老子》とともに出土した帛書はくしよ)のなかにも黄帝書と思われるものがある。《史記》には,戦国の申不害の学問は〈黄老に本づく〉とか,慎到田駢(でんべん),接子,環淵たちは〈黄老道徳の術〉を学んだとかいい,また河上丈人から曹参(そうさん)まで7代にわたる黄老学の伝承系譜を記録している。しかし〈黄老〉と熟した用例は《史記》以前の文献にはなく,その史実性は疑わしい。要するに,黄老思想の成立は早くとも戦国末のことであったと考えられる。漢初には,〈黄老の術〉を治道のかなめに用いた曹参や,〈黄帝老子の術〉を愛した陳平など,秦の法術主義の反動として,〈清浄無為〉の政術を標榜する思想が有力なものとして存在した。このような黄老思想は,漢の武帝による儒教一尊体制の確立とともにすがたをけすが,その後〈黄老〉はひろく道家的哲理をさすことばとして用いられたほか,黄帝書は医学のなかに継承され,また後漢代には〈黄老君〉と呼ばれる神仙的な神格が生まれた。陳王劉寵(りゆうちよう)は〈黄老君を祭って長生の福を求め〉,また桓帝宮中に〈黄老・浮屠(ふと)の祠を立てた〉という。浮屠とは仏のことであって,このように〈黄老君〉は仏教信仰とも習合した神格であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黄老」の意味・わかりやすい解説

黄老
こうろう
Huang-Lao

中国の道家思想,特に前漢初期に流行したそれをいう。字義黄帝老子とをさし,老子の教えの別称というが明確でない。ただし,しばしば「黄老の術」という表現がみられるので,道家思想を実践する特殊な技術と結びついていたらしいことがわかる。漢代初期は長い戦乱のあとだったので,個人の平安を願う人々の心理が世俗化した道家思想を流行させた。『淮南子 (えなんじ) 』をその思想の総決算とみることができる。六朝以後は黄老の称は行われず,「老荘」の玄学が興った。

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百科事典マイペディア 「黄老」の意味・わかりやすい解説

黄老【こうろう】

黄は黄帝,老は老子の意で,両者を祖と仰ぐ道教系の思想の代名詞。戦国末の成立か。〈清浄無為〉を旨とする政治思想としての〈黄老の術〉,習合的神格としての〈黄老君〉など,この語を付すものが少なくない。

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