黄門(読み)コウモン

デジタル大辞泉 「黄門」の意味・読み・例文・類語

こう‐もん〔クワウ‐〕【黄門】

中納言唐名。唐の黄門侍郎こうもんじろうという官職と職掌が似ているのでいう。
《中納言であったところから》徳川光圀とくがわみつくに通称水戸黄門

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精選版 日本国語大辞典 「黄門」の意味・読み・例文・類語

こう‐もんクヮウ‥【黄門】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 宮中の小門が黄色に塗ってあったところから ) 宮城の門。
    2. ( 中国、後漢の時、の開閉を宦官(かんがん)がつかさどったところから ) 宦官をいう。
      1. [初出の実例]「かの黄門はつみ人の形也」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
      2. [その他の文献]〔漢書‐百官公卿表・上〕
    3. ( 「こうもんじろう(黄門侍郎)」の略 ) 中納言(ちゅうなごん)の唐名。
      1. [初出の実例]「計後会於四年。恨遺黄門之風月」(出典:本朝文粋(1060頃)九・餞飛州刺史赴任詩序〈大江以言〉)
      2. 「俳諧といふは、黄門定家卿の言ふ、利口也」(出典:俳諧・三冊子(1702)白双紙)
    4. ( 「こうもんかん(黄門監)」の略 ) 大納言(だいなごん)の唐名。〔運歩色葉(1548)〕
    5. ( から転じて ) 生殖能力のない男性をいう。〔輟耕録‐巻二八・黄門〕
  2. [ 2 ] ( 官位が中納言であったところから ) 水戸徳川家の大名、特に徳川光圀の俗称。
    1. [初出の実例]「昔小遠州に水戸古黄門(こカウモン)様、当黄門(とうコウモン)様、御腰かけられし時」(出典:茶湯献立指南(1696)八)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄門」の意味・わかりやすい解説

黄門
こうもん

中納言(ちゅうなごん)の唐名。元来は中国古代の宮廷の門の扉が黄色に塗ってあったことから、王宮の門の異称であったが、秦(しん)・漢代には、この門の中にあって執務した侍従職の官職名として「黄門侍郎」の名があった。日本で中納言の異称とするのは、その職務内容が類似するためである。なお、水戸の徳川光圀(みつくに)を「黄門様」の愛称でよぶのは、光圀が権(ごん)中納言で「水戸黄門」と称されたことによる。

[宇田敏彦]

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百科事典マイペディア 「黄門」の意味・わかりやすい解説

黄門【こうもん】

中納言(ちゅうなごん)の唐名。唐の門下省次官の黄門侍郎に職掌が似ているための称。また特に徳川光圀をさす。

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普及版 字通 「黄門」の読み・字形・画数・意味

【黄門】こうもん

宮門

字通「黄」の項目を見る

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「黄門」の解説

こうもん【黄門】

茨城日本酒蔵元は「古川酒造店」。現在は廃業。蔵は東茨城郡大洗町にあった。

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