NASA(読み)ナサ

精選版 日本国語大辞典 「NASA」の意味・読み・例文・類語

ナサ【NASA】

(National Aeronautics and Space Administration の略) アメリカ航空宇宙局アメリカ宇宙開発の政府機関。一九五八年に設立され、各省と並んで大統領の直属機関となっている。非軍事的な宇宙開発目的とし、活動中心は有人宇宙飛行。

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デジタル大辞泉 「NASA」の意味・読み・例文・類語

ナサ【NASA】[National Aeronautics and Space Administration]

National Aeronautics and Space Administration米国航空宇宙局。1958年に設立された政府機関。アポロ計画スペースシャトル計画などを達成し、国際宇宙ステーションの開発にも参画している。ワシントン特別区に本部があるほか各地ジョンソン宇宙センターケネディ宇宙センターなどの施設をもつ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「NASA」の意味・わかりやすい解説

NASA
なさ

アメリカ航空宇宙局National Aeronautics and Space Administrationの略称。非軍事目的の宇宙開発および先進的な航空技術の研究開発を担う連邦政府組織である。首都ワシントンにあるNASA本部と、ジョンソン宇宙センター、ゴダード宇宙飛行センターなど全米各地に存在するセンターからなる。全体の定員は1万8000名程度、予算は200億ドル程度で、省レベルの組織ではないが大統領直属の独立機関である。航空諮問委員会(NACA、1915年創設)を母体として、1958年にアメリカ航空宇宙法によって設立された。

[佐藤 靖 2017年2月16日]

有人宇宙計画

NASAは設立後すぐに陸海空軍から組織や人材の移管を受け、急速に陣容を拡大し、高度な技術力を獲得した。当時のアメリカには宇宙開発分野でソ連に先を越されているという危機感があり、議会もNASAを積極的に支援した。1961年には、ケネディ大統領(当時)がアポロ計画の実施を決断し、1960年代末までに有人月面着陸を実現すると宣言する。NASAは総力をあげて同計画に取り組み、1969年7月20日、ニール・アームストロング船長率いるアポロ11号宇宙船が月面着陸を達成した。

 アポロ計画が成功した後は、米ソ間の冷戦の緊張がやや緩んだこともあり、宇宙開発に対する議会の支持は弱まったが、NASAは宇宙往還機スペースシャトルの開発を開始し、1981年にその初号機打上げに成功する。ただし、1986年には打上げ73秒後に機体が空中分解して宇宙飛行士7名全員が犠牲になるというチャレンジャー号事故が起き、アメリカ社会に衝撃を与えた。

 1998年以降、スペースシャトルは国際宇宙ステーション(ISS)の部材の地球軌道上への運搬を始めた。国際宇宙ステーションとは、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、日本、カナダなどの国際協力による、人間が地球軌道上に長期滞在するための巨大構築物である。その組立ては、2003年のスペースシャトル・コロンビア号の事故などもあって遅延したが、2011年に完成する。一方、同年アメリカではスペースシャトルが退役し、その結果、国際宇宙ステーションへの人員の輸送はロシアのソユーズ宇宙船が担うことになった。

[佐藤 靖 2017年2月16日]

無人宇宙計画

NASAは設立以来、有人宇宙計画に加え、無人宇宙探査も着実に進めてきた。有名な計画としては、1976年に火星軟着陸を成し遂げたバイキング計画、1980年代に木星・土星・天王星・海王星すべての近傍を通過して観測を行ったボイジャー計画、1995年から木星およびその衛星の接近観測を行ったガリレオ計画、2004年から土星およびその衛星の接近観測を行ったカッシーニ計画などがあげられる。また、NASAはこれまで、地球観測を行うための衛星や、天文観測を行うための観測機器や巨大望遠鏡を地球軌道上に打ち上げてきた。1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、長期間にわたって宇宙科学に大きな影響を与える発見を数多くもたらしてきた。

 NASAにおける無人宇宙計画の重要性は近年高まってきている。1990年代以降、冷戦構造の崩壊、グローバル化の進展により、宇宙開発における国威発揚の側面が弱まり、かわりに科学探査の側面が重視されるようになってきたためである。また、有人宇宙計画の次のステップとして考えられる有人火星探査が、資金面・技術面であまりにハードルが高いためになかなか進展しないことも原因である。一方、無人宇宙計画の分野では、NASAは近年も存在感を示し、人々をひきつける成果を出してきたといえる。

[佐藤 靖 2017年2月16日]


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百科事典マイペディア 「NASA」の意味・わかりやすい解説

NASA【ナサ】

National Aeronautics and Space Administrationの略。ふつうアメリカ航空宇宙局と訳される。アポロ計画はじめ,惑星探査計画,スペースシャトル計画など米国の軍事用を除く宇宙計画の総推進機関。1958年航空工学の研究を主導してきたNACA(ナカ)(National Advisory Committee on Aeronauticsの略。アメリカ航空諮問委員会)を強化する形で設立。本部ワシントン。ケネディ宇宙センター,マーシャル宇宙飛行センター,有人宇宙飛行センターなどの諸施設および複雑巨大な研究開発機構をもつ。
→関連項目アポロ計画エドワーズ基地ケープ・カナベラル磁性流体ハッブル宇宙望遠鏡ヒューストンブラウンボエジャーマーキュリー計画マリナー計画

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世界大百科事典 第2版 「NASA」の意味・わかりやすい解説

ナサ【NASA】

National Aeronautics and Space Administrationの略。アメリカの政府機関の一つで,アメリカ航空宇宙局,あるいは単に航空宇宙局と訳されることが多い。組織的には大統領に直接指導される独立した官庁である。NASAは1958年10月1日,宇宙の探査とそのための技術開発を軍の活動と切り離して高い理念の下に実施したいというアイゼンハワー大統領の意向により,それまで主として航空工学の研究を指導してきたNACA(ナカ)(National Advisory Committee on Aeronauticsの略。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「NASA」の意味・わかりやすい解説

NASA
ナサ

アメリカ航空宇宙局」のページをご覧ください。

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世界大百科事典内のNASAの言及

【宇宙開発】より

…さらに改善された通信衛星はこれを静止衛星軌道にのせて,つねに地上との位置関係を同じに保ち,あたかも地球上の上空に固定した中継局のように利用するものである。NASA(ナサ)のシンコム3号(1964)がこの種の衛星の先駆けとなり,現在ではインテルサットという国際組織による同名の通信衛星の運用が行われ,国際通信の一端を担っている。このほか,ロシアは高緯度の領土に適した楕円軌道のモルニア型衛星を用いて国内通信に供している。…

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