《実験小説論》(読み)じっけんしょうせつろん

世界大百科事典(旧版)内の《実験小説論》の言及

【自然主義】より

…ゾラは,まず《テレーズ・ラカン》(1867)によって科学研究に類する小説を書きえたと自負し,構築しつつあった自然主義理論に対する確信を深めたあと,やがて,遺伝と環境に支配された〈一家族の自然的社会的歴史〉を描きつくすという壮大な意図のもとに,20巻の小説から成る〈ルーゴン・マッカール叢書〉(1871‐93)を書き始める。また,小説執筆のかたわら,ゾラは自らの自然主義文学理論を《実験小説論》(1880)にまとめあげた。バルザックの《人間喜劇》にならった〈ルーゴン・マッカール叢書〉全体の構想が,P.リュカの遺伝理論など生理学・生物学の成果に多くを負っているのと同じように,〈実験小説論〉は,クロード・ベルナールの《実験医学研究序説》に示された医学上の方法論をほとんどそのまま小説に適用することを主張するもので,ある環境に置かれた一定の遺伝的・生理的条件をもつ人間の変化反応を描く〈実験としての小説〉を提唱する理論であった。…

【ゾラ】より

…1871年,ライフワークたる〈ルーゴン・マッカール〉の第1巻《ルーゴン家の繁栄》を出し,その後精力的に書きつづける。自然主義文学の総帥として論陣を張り,《実験小説論》(1880)を書き,パリ郊外のメダンの別荘にユイスマンスら新進作家を集め,共同で作品集《メダンの夕べ》を出したりした。プルードン,マルクスらを読み,社会主義にも関心を示している。…

※「《実験小説論》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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