『君に届け』(読み)きみにとどけ

知恵蔵 「『君に届け』」の解説

『君に届け』

椎名軽穂が「別冊マーガレット」(集英社)に連載している学園マンガ。黒いまっすぐな髪、きまじめ過ぎる性格、陰気な雰囲気で、有名ホラー映画のキャラクター「貞子」を通称にされている高校1年生の黒沼爽子が、クラスきっての人気者である風早翔太と仲良くなることで次第に周囲に認められ、成長していくさまを追っている。地味な主人公が確たる根拠もなくハンサムな男性から好意を持たれるパターンは、少女マンガの王道ともいうべきありふれた展開だが、この作品の場合は主人公が他人の役に立つことに喜びを感じる、現代人離れした性格であるところがみそ女生徒の友人もでき、幸せを呼ぶ妖怪座敷わらし」に擬されるようになっていく。さわやかな読後感が評判を呼んで男性のファンも付き始め、『NANA』や『ハチミツとクローバー』(ともに集英社)などの少女マンガのメガヒット作に続く、ロングセラーとなりつつある。集英社刊。4巻まで刊行され、累計部数は約200万部。

(鈴木繁 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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