『日本侠客伝』シリーズ(読み)にっぽんきょうかくでんしりーず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「『日本侠客伝』シリーズ」の意味・わかりやすい解説

『日本侠客伝』シリーズ
にっぽんきょうかくでんしりーず

日本映画。1964(昭和39)~1971年、マキノ雅弘(まさひろ)(1908―1993)監督(第1作~第9作)、山下耕作(やましたこうさく)(1930―1998)監督(第10作)、小沢茂弘(おざわしげひろ)(1922―2004)監督(第11作)。第1作は当初中村錦之助(なかむらきんのすけ)(萬屋錦之介(よろずやきんのすけ)、1932―1997)が主演として考えられていたが、スケジュールが合わずに高倉健(たかくらけん)(1931―2014)が主演となり、中村は助演となる。この作品のヒットにより高倉は東映任侠映画路線を支える重要なスターとなる。多くの東映任侠映画が、やくざという存在そのものの悪性括弧でくくり、良いやくざが悪いやくざを成敗するという勧善懲悪構造をもっている。本シリーズも勧善懲悪構造という点では共通しているが、シリーズ内の作品の多くは主人公がやくざ(博徒(ばくと))ではないことが特徴。これは堅気の職業をもつ人間に対するマキノの賛歌であるといえよう。高倉主演の任侠映画シリーズとしては『昭和残侠伝』シリーズ(1965~1971)と並ぶ有力なシリーズである。

[石塚洋史]

『『世界の映画作家31 日本映画史』(1976・キネマ旬報社)』『東映ポスター集製作委員会編『東映ポスター集 ポスターでつづる東映映画史』(1980・青心社)』『マキノ雅弘著『マキノ雅弘自伝 映画渡世 地の巻』新装版(2002・平凡社)』『佐藤忠男著『日本映画史1、3』増補版(2006・岩波書店)』『猪俣勝人・田山力哉著『日本映画作家全史 上下』(社会思想社・現代教養文庫)』

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