大学事典 「『明六雑誌』」の解説
『明六雑誌』
めいろくざっし
明六社の機関誌。森有礼の提案でつくられた洋学者による啓蒙団体明六社の例会の演説内容公表などを目的として,1874年(明治7)4月に創刊された。翌年11月の第43号で終刊。活版印刷による平20頁の小冊子で,毎号平約3200部が発行された。執筆者は森有礼・西村茂樹・津田真道・西周・中村正直・加藤弘之・福沢諭吉・箕作秋坪・箕作麟祥ら明六社の関係者で,大半は旧幕府開成所出身の洋学者であり,福沢以外は明治政府の官吏であった。内容は政治,哲学,宗教,教育,社会,経済など広範囲にわたる学術的論文や演説筆記など。1875年,政府から新聞紙条例と讒謗律が出され,官吏が政務を私的に新聞雑誌に載せることが禁止されると,福沢が廃刊を提案し,賛成多数を得て終刊となった。日本における総合学術誌,学会誌の先駆けとされる。
著者: 冨岡勝
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報