えぞ地の旅(読み)えぞちのたび

日本歴史地名大系 「えぞ地の旅」の解説

えぞ地の旅
えぞちのたび

一冊 トーマス・W・ブラキストン著 西島照男訳 北海道出版企画センター 昭和六一年刊

解説 幕末期から明治一〇年代まで函館で製材海運・貿易の事業家として活躍し、鳥類の研究やブラキストン・ラインでも有名な英国人ブラキストンが、明治二年に北海道を周回した際の旅行記。明治元年秋、宗谷沖で座礁した英国軍艦ラトラー号の大砲その他の積荷一切を譲り受けた日本政府からそれらの点検を委任されたブラキストンは、翌年九月船で函館から厚岸に上陸し、別海標津斜里網走を経て宗谷に赴いた。帰路は北海道西岸を石狩に至り、そこから英国人E・H・M・ガワーやC・スコットの指導で開坑していた岩内場所の茅沼石炭山を視察したのち、勇払・室蘭経由で一一月末に帰函した。それは外国人による最初の北海道一周であったばかりでなく、明治新政府が旧幕府から引継いだばかりの頃の北海道各地の状況を物語る貴重な記録でもあった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android