かせどり

精選版 日本国語大辞典 「かせどり」の意味・読み・例文・類語

かせ‐どり

〘名〙 (「かせとり」とも) 小正月の夜、若者たちが鶏の鳴き声をして各家をたずね歩き、餠や銭をもらう行事。かせぎどり。ほとほと。なまはげ。《季・新年》
諸国風俗問状答(19C前)陸奥国信夫郡伊達郡風俗問状答「家毎に歩行ば、家々よりもち・だんごをくれる。夫をくゑば、農やみとて五月の比わづらふを、かならず煩はぬと云ふ。是をかせどりと云」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「かせどり」の意味・わかりやすい解説

かせどり

小正月(1月14~16日)の呪的(じゅてき)訪問者。「なまはげ」「ほとほと」など一連の行事を、東北地方と九州南部でこうよぶ。小正月の夜、藁(わら)の腰巻や蓑(みの)を着て変装した男たちが、ざるなどを持って家々を回って米や餅(もち)や銭の祝儀をもらい歩く。村の青少年の場合と、よそからくる物もらいの場合と、厄年の者が厄払いの目的でする場合とがある。「かせどり」というのは、農作業の名称からきた語と思われるが、稼ぎ鶏(どり)または稼ぎ取りの意と解する者も多く、家々の軒下ニワトリの鳴きまねをしたり、集団同士で、もらった餅を取り合う所もあった。

[井之口章次]

 仮面・仮装の異形の姿をした者を「来訪神」とした行事が各地域で伝承されており、2018年(平成30)、小正月などに行われる来訪神行事10件が、「来訪神:仮面・仮装の神々」として、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に一括登録された。

[編集部 2019年3月20日]

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