さしも(読み)サシモ

デジタル大辞泉 「さしも」の意味・読み・例文・類語

さしも[助動]

[助動][さしも(さしま・さしむ)|さしも(さしむ・さしみ)|さしも(さしむ)|さしも(さしむ)|○|さしめ]《尊敬助動詞「さしまう(さしもう)」の音変化》上一段・上二段・下一段・下二段動詞および一部の助動詞の未然形、サ変動詞の連用形に付く。軽い尊敬の意を表す。…なさる。→さしめしも
「ここにゐさしもたか」〈史記抄・滑稽伝〉
[補説]室町時代に用いられた語。「さしむ」はその音変化形。

さし・も[動]

[動マ特活]「する」の意の尊敬語。なさる。
「かまへて、妄りに人に泄たりなんと―・もなと云そ」〈史記抄・扁鵲倉公伝〉
小筒ささえが来たらば一つ飲まう。わごりょ酌―・め」〈虎清狂・猿座頭
[補説]室町時代に用いられた語。活用は助動詞「さしも」と同じ。サ変動詞「する」に助動詞「さしも」が付いた「せさしも」の音変化とも、また、サ変動詞「する」の未然形に「させたまふ」の付いた「せさせたまふ」の音変化「さしまう」が、さらに音変化した形ともいう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「さしも」の意味・読み・例文・類語

さ‐しも

〘副〙 (副詞「さ」に助詞「し」「も」が付いてできたもの)
① 副詞「さ(然)①」を強めたいい方。反語否定表現を伴って用いることが多い。そのようにも(…ない)。→さしもなしさしもやは
蜻蛉(974頃)上「ただなりしをりは、さしもあらざりしを、かくこころあくがれて」
② 副詞「さ(然)②」を強めたいい方。これほどにも。あれほどにも。→さしもにさしもの
斎宮女御集(985頃か)「もちながらちよをめぐらんさかづきのきよきひかりはさしもかけなむ」
※高野本平家(13C前)一「当時さしもめでたうさかえさせ給ふ平家太政の入道どのへ」

さしも

〘助動〙 (上一・上二・下一・下二段活用型の活用語の未然形に付く。「さしむ」とも) 尊敬の意を表わす。られる。なさる。室町時代の語。→しも
※史記抄(1477)五「何以てか位にはいさしもふと云そ」
※虎明本狂言・不聞座頭(室町末‐近世初)「二三日よそへゆく程に、留守をしてくれさしめ」
[補注]語源については、「させ給う」の変化した語かという。

さし・も

〘他マ特活〙 (助動詞「さしも」がサ変に接続した「せさしも」の意に用いた語。ただし、「せさしも」の例は見られない) 「する」の意の尊敬語。なされる。
※史記抄(1477)一一「三令五甲かうさしめとさしめなんどと云てねんころに教るぞ」
四河入海(17C前)一二小墨のはちを洗はんとさしまへども」

さし‐も

〘名〙 「さしもぐさ」の略。
夫木(1310頃)二二「下野やしめぢが原の草がくれさしもはなしにもゆる思ひそ〈藤原光俊〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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