デジタル大辞泉
「そこはかと」の意味・読み・例文・類語
そこはか‐と
[副]《「其処は彼と」の意という》
1 (あとに打消しの語を伴って用いる)どこそことはっきりとは。確かには。
「悩み給ふさま―見えず」〈源・若菜下〉
2 何となく。あれやこれやと。
「―思ひ続けて来てみればことしのけふも袖はぬれけり」〈新古今・哀傷〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
そこはか‐と
① 場所や
輪郭などを、どことはっきり指示・識別するさまを表わす。どこがどうとはっきり。格別に。確かに。下に打消の
表現がくる場合が多い。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「ことに、そこはかとある御心地にはあらで、おこり給ふ折などして、物参らずとなん」
※
源氏(1001‐14頃)
匂宮「顔かたちも、そこはかと、いづこなむすぐれたる、あな清らと、見ゆる所もなきが」
②
原因、理由、
けじめなどがはっきりしない状態を表わす語。何となく。どうということなく。あれやこれやと。そこはかとなし。
※
有明の別(12C後)二「今は、
我身のながらふまじきを知りながらや、〈略〉そこはかとあひしらはる」
※新古今(1205)哀傷・八四一「そこはかと思ひ続けて来て見れば今年の今日も袖はぬれけり〈
慈円〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報