精選版 日本国語大辞典 「なる」の意味・読み・例文・類語
なる
- 〘 助動詞 〙 ( 活用は、「なん・なり、ない・なる・なる・なれ・ない」。「なさる」から「なはる」「なある」を経て変化した語 ) 動詞連用形を受け、動作の主に対する軽い敬意を表わす。主として、遊里の者や遊客に用いられたが、一般町民も用いた。
- [初出の実例]「はらのたつ・すましたらしうお払ひない」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))
- 「そういいなっては今いった事をうそだといいなるのかへ」(出典:洒落本・品川楊枝(1799))
なるの補助注記
( 1 )活用形「なる」は「なん」の形をとることがある。特に下に禁止の助詞「な」がくるときは、「なん」となるのが普通である。「主(ぬし)に主がほれて居なんから、了簡が違いいんさアな」〔洒・穴可至子〕。
( 2 )命令形「ない」は敬意が大分うすれて用いられ、「なえ」「ねえ」の形で現われることが多い。「かみさん見ねヱ、凄い男だ」〔洒・辰巳之園〕。