…とくにコイは尊ばれ,《四条流庖丁書》(1489)のごときはコイを調理することこそが料理だなどといっている。室町時代にはコイやフナの生食や,アユ,フナはもとよりのこと,ウナギ,ナマズ,ドジョウのなれずしも盛んにつくられていた。 川魚はウナギを除くと,だいたい脂肪が少なく淡泊であるが,ピペリジン系化合物を主体とするにおいと特有の癖をもつものが多い。…
…以上のように,古代中国では鮨と鮓とは別物として区別されていたようである。
[なれずし]
《釈名》に見られる鮓のような馴れずしは,日本では近世まで盛んにつくられていたものだった。魚に塩をあてて飯といっしょに漬けこみ,おもしをかけて半年,1年と熟成させて魚だけを食べる。…
…南渡した漢人が覚えた珍味として落とせないのが,鮓(さ)である。これは,なれずしで,魚を塩につけてから米飯にはさんだうえ,おもしでおさえて飯が乳酸発酵したころあいに魚を食べた。 隋から唐にいたって当時の国際都市長安は,西域人(胡人)が多く往来・居住し胡風が広まったことはよく知られる。…
※「なれずし」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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