はらはら(読み)ハラハラ

デジタル大辞泉 「はらはら」の意味・読み・例文・類語

はら‐はら

[副](スル)
小さいものや軽いものが、静かに続けて落ちかかるさま。「涙をはらはら(と)落とす」「花びらはらはら(と)散る」
髪が垂れかかるさま。「後れ毛はらはらと肩にかかる」
成り行きを危ぶんで気をもむさま。「わが子の初舞台はらはらしながら見守る」
多くのものがいっせいに動くさま。
「河に―とうち入りて渡りけるに」〈今昔・三一・一一〉
物が触れ合ってたてる音を表す語。
きぬの音なひ―として」〈帚木
物がはじけて発する音を表す語。
かるる豆がらの―と鳴る音は」〈徒然・六九〉
[類語](1ほろほろぽろぽろぽたぽたぽとぽとぼろぼろぼたぼたぼとぼとだらだらたらたらぽつぽつぱらぱらばらばらぽろりほたほたぽつりぽつりぽつりぽつんはらりぱらりほろりぽたりどくどくたらりちょろちょろちょろりとくとくしたたりだくだくぽとり滴る滴り落ちる垂らす垂れるこぼれるほとばしるあふれる/(3不安考え事思案物思い心配気疲れ気苦労心痛心労懸念恐れ憂慮取り越し苦労杞憂悲観恐れる危惧きぐ危懼きく疑懼ぎく胸騒ぎ気がかり心がかり不安心心細い心許こころもとない憂い気遣いわずら怖い危なっかしいおぼつかない頼り無いおののく動揺心騒ぎ煩慮憂惧ゆうぐ憂懼ゆうく憂い事気遣わしい痛心鬼胎ひやひやどきどきおどおどあぶなあぶな恐る恐るこわごわおっかなびっくりおじおじおずおずびくびく恐れるこわがるおくするおびえるびくつくおじるおじける恐怖する恐れをなす悪びれる気が気でないそぞろ足が地につかない気が揉める居ても立ってもいられない矢も楯もたまらない居たたまれない生きた心地もしない気になる気に病む案ずる

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精選版 日本国語大辞典 「はらはら」の意味・読み・例文・類語

はら‐はら

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
[一] 物の音にいう。
① 布、紙などが連続してすれ合う音を表わす語。
落窪(10C後)二「そよそよはらはらと沓(くつ)すりて」
② いっせいに動く音、また、そのさまを表わす語。
※今昔(1120頃か)三一「河にはらはらと打入て渡けるに」
③ 物が砕けたりこわれたりする音、また、そのさまを表わす語。
※今昔(1120頃か)二〇「猪の牙を食出たるが、石をはらはらと食ば」
④ 物が焼けてつぎつぎにはぜる音を表わす語。ぱちぱち。
※中外抄(1137‐54)保延四年四月七日「雀をはらはらとあぶりて」
⑤ 物が壊れたり、破れたり、また、人が倒れたりするさまを表わす語。〔名語記(1275)〕
信長記(1622)八「先に進んだる鋭卒とも、将棊たをしをするごとく、五六百騎はらはらと射たをされければ」
[二] 物が落ちたり、下がったりするさまにいう。
① 長い髪がきれいにそろってとかれているさまを表わす語。
源氏(1001‐14頃)葵「御ぐしの乱れたる筋もなく、はらはらとかかれる枕の程」
② 髪が乱れるさまを表わす語。
※龍潭譚(1896)〈泉鏡花〉九つ谺「肩のあたり鬢のおくれ毛はらはらとぞみだれたる」
③ 涙の流れるさま、また、泣くさまを表わす語。
山家集(12C後)中「はらはらと落つる涙ぞあはれなるたまらず物の悲しかるべし」
④ 雨の降るさま、露の落ちるさまなどを表わす語。
※経信母集(11C中か)「俄かに雨はらはらと降りきて」
⑤ 木の葉や紙などが舞い落ちるさまを表わす語。
※俳諧・誹諧独吟集(1666)下「今はかうよと落(おつ)る軍場(いくさば) はらはらと木(こ)葉衣(はごろも)に笠着山〈宗因〉」
[補注]江戸時代までの写本・版本では、濁点を厳密に付していないことが多いので、原文に「はらはら」とあっても、ハラハラ・パラパラ・バラバラのいずれを表わしたのか決定できない。

はら‐はら

〘副〙 気をもみ危ぶむさまを表わす語。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「手をあてて、はらはらするてい」

はら‐はら

〘名〙 鮞(はららご)をいう女房詞。〔女中言葉(1712)〕

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