デジタル大辞泉
「はらはら」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
はら‐はら
〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
[一] 物の音にいう。
① 布、紙などが連続してすれ合う音を表わす語。
※
落窪(10C後)二「そよそよはらはらと沓
(くつ)すりて」
② いっせいに動く音、また、そのさまを表わす語。
※今昔(1120頃か)三一「河にはらはらと打入て渡けるに」
③ 物が砕けたりこわれたりする音、また、そのさまを表わす語。
※今昔(1120頃か)二〇「猪の牙を食出たるが、石をはらはらと食ば」
④ 物が焼けてつぎつぎにはぜる音を表わす語。ぱちぱち。
※中外抄(1137‐54)保延四年四月七日「雀をはらはらとあぶりて」
⑤ 物が壊れたり、破れたり、また、人が倒れたりするさまを表わす語。〔名語記(1275)〕
※
信長記(1622)八「先に進んだる
鋭卒とも、将棊たをしをするごとく、五六百騎はらはらと射たをされければ」
[二] 物が落ちたり、下がったりするさまにいう。
① 長い髪がきれいにそろってとかれ
ているさまを表わす語。
※
源氏(1001‐14頃)葵「御ぐしの乱れたる筋もなく、はらはらとかかれる枕の程」
② 髪が乱れるさまを表わす語。
※龍潭譚(1896)〈
泉鏡花〉九つ谺「肩のあたり鬢のおくれ毛はらはらとぞみだれたる」
③ 涙の流れるさま、また、泣くさまを表わす語。
※
山家集(12C後)中「はらはらと落つる涙ぞあはれなるたまらず物の悲しかるべし」
④ 雨の降るさま、露の落ちるさまなどを表わす語。
※経信母集(11C中か)「俄かに雨はらはらと降りきて」
⑤ 木の葉や紙などが舞い落ちるさまを表わす語。
※俳諧・誹諧独吟集(1666)下「今はかうよと落
(おつ)る軍場
(いくさば) はらはらと木
(こ)の
葉衣(はごろも)に笠着山〈
宗因〉」
[
補注]江戸時代までの
写本・版本では、
濁点を厳密に付していないことが多いので、
原文に「はらはら」とあっても、ハラハラ・パラパラ・バラバラのいずれを表わしたのか決定できない。
はら‐はら
〘副〙 気をもみ危ぶむさまを表わす語。
※
滑稽本・
浮世風呂(1809‐13)二「手をあてて、はらはらするてい」
はら‐はら
〘名〙 鮞
(はららご)をいう
女房詞。〔女中言葉(1712)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報