ひめ始め(読み)ひめはじめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ひめ始め」の意味・わかりやすい解説

ひめ始め
ひめはじめ

その年の物事の行い始めの一つとして、吉書(きっしょ)始めなどと並んで江戸時代の暦の1月1日の箇所に記されている事項。初期の暦の多くには、2日としている。意味には諸説あり、そのうちでは、秘事を始める日、夫婦男女が初めて交わりをなす日だとする考えがもっとも人気のある説で、江戸時代の文学作品にはこの意に解して取り上げているものが多いが、単なる俗説だとされている。これに対して、飛馬(ひめ)始めと解して馬に乗り始める日、糄(ひめ)、すなわち強飯(こわめし)ではなく炊いた柔らかい姫飯(ひめいい)を食べ始める日、火水始めと解して火や水を使い始める日、女性が裁縫などの仕事を始める日などの説があるが、いずれとも決しがたい。

[田中宣一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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