日本大百科全書(ニッポニカ) 「ものづくり補助金」の意味・わかりやすい解説
ものづくり補助金
ものづくりほじょきん
国際競争力向上や新産業創出を促すため、中小企業の技術革新や新サービス開発を支援する補助金。正式名称は「ものづくり・商業・サービス革新補助金」。「中小ものづくり高度化法」(平成18年法律第33号)などに基づき、経済産業省と中小企業庁が2009年度(平成21)補正予算編成時に創出した補助制度である。試作品や新商品の開発、新サービスの導入、設備投資などを行う中小企業を対象に、かかった原材料費、機械装置費、人件費などの費用の3分の2までを補助する。補助上限は1000万円。ものづくり補助金は工作機械などの設備投資を促す効果が大きく、景気対策の一環として毎年、補正予算編成時に予算規模や補助内容が決められている。このため年度によっては、医療・環境・エネルギーなどの成長分野への補助上限を1500万円まで引き上げたり、小規模事業者向けに700万円の特別枠を設けたりしている。2014年度補正予算には、中小企業が共同体をつくって設備投資をする場合に、補助上限5000万円(1社あたり500万円)の新制度が盛り込まれた。補助対象企業は、2009年度から2014年度までの累計で約3万社に達している。
ものづくり補助金は通常、補正予算が成立した2、3月から夏場にかけて、数回、申請を受けつける。希望する企業は、地域金融機関、公的支援機関、税理士、弁護士、中小企業診断士などの国が認定する助言機関(認定支援機関)と相談し、事業計画を策定して申請する。申請内容の革新性などを、大学教授ら専門家でつくる評価委員会が査定し、補助対象として採択する。毎年度の予算額を消化した段階で、採択は打ち切られる。2014年度からは、製造業だけでなく、情報通信、サービス、商業などの非製造業も補助対象に含まれている。
[矢野 武]